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異世界学事始め あとがき

 昨日「異世界学事始め」の最終話を投稿しました。細かい誤字修正などの更新はちょくちょく入れていくかも知れませんが、言葉をを巡るゲンの冒険譚はこれにて完結です。

 今年の初夏ごろ、Twitterで「イギリス由来の『サンドイッチ』という言葉がファンタジー作品に登場するのはおかしいのでは?」という趣旨のツイートが話題になりました。そのときに「それいい出したらサンドイッチどころかあらゆる言葉が通じなくなるだろうから、そういう世界書いてんやんよ!」と思い、ありもしない言語のありもしない単語をでっち上げて、執筆がスタートしました。

 その時は、全30話 3万字くらいの短編で、まぁ夏が終わるまでには完結できるやろ、なんてタカをくくってました。が、「言葉との戦い」という実は壮大なテーマを制御できず、書き終えてみたら85話13万文字と、そこそこの長編となり、執筆に3ヶ月かかってしまいました。
 見積もりは大きくオーバーしましたが、これでWeb小説の書き方や、自分に合うスタイルなどがいくらかわかったように思います。

 いたずらに話数が増えると、PV数は下がっていくんじゃ……なんて不安もありましたが案外そうでもなく、むしろ一気読みをしてくれる方が定期的に現れて、ガツンとPVが跳ね上がる日がちょくちょくございました。それに伴うように、星をつけてくれる方、コメントをくださる方など増え始め、この話を楽しみにしてくれる人がいる、という実感は毎日キーボードを叩くモチベーションとなりました。

 ここまで様々な形で応援していただいた皆様、あらためて御礼申し上げます!!


 次に書きたい作品のプロット固めなどがあるため、少しの間更新はなくなりますが、すぐに戻ってきますので、もしよろしければ次回作も楽しみにしていただけるとありがたいです。(フォローしていただけると超嬉しいです)


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オマケ
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以前、近況報告で書いた通り、登場人物の名前には元ネタがあります。小説、漫画、映画・ドラマ、専門書等々を通して、彼らの伝説に触れたてきたことが、間違いなくこのお話を書く際の血肉となりました。そんな偉人たちへのリスペクトの意味を込めて、元ネタを書き連ねます。


■はぐれ転生者たち(後の賢者グループ)
江戸時代の蘭学者の名前がモチーフです。特に「解体新書」の翻訳に携わった人々をメインにしています。

・杉白ゲン:「解体新書」翻訳の中心人物で「蘭学事始め」の著者、杉田玄白から。
・前沢リョウ:「解体新書」翻訳の中心人物、前野良沢から。

・庵川アツシ:翻訳メンバーの小浜藩医、中川淳庵から。
・桂アマネ:翻訳メンバーで後に奥医師となった桂川甫周から。子どもたちと接したり終章で教育に携わっているのは、明治時代の教育家、西周のイメージも混じってます。
・桐山マサル:翻訳メンバーの弘前藩医、桐山正哲から。

・青木アキラ:前野良沢の師で、オランダ語のテキストを残した青木昆陽から。彼のスキル〈異常生長〉は、昆陽が普及に尽力したサツマイモの蔦がモチーフ。
・稲村ハルマ:初の本格的な蘭和辞典「ハルマ和解」を完成させた蘭学者、稲村三伯から。
・大槻シラン:玄白と良沢の弟子で、江戸の名門蘭学塾・芝蘭(しらん)堂の創始者、大槻玄沢から。蘭学の重要人物のため使いたかった名前ですが、上手いもじり方がなかなか浮かばず、終盤での登場となってしまいました…


■村人たち
センディとアニーラは元ネタなし。門番二人は、当初翻訳作業に関わる予定だったので日本の著名な言語学者の名前を拝借しました。

・キンダー:アイヌ語研究の第一人者で、「明解国語辞典」刊行に携わった金田一京助から
・イーズル:明治時代の言語学者で「広辞苑」の編纂者、新村出から


■ギョンボーレ族
オベロン王はそのものスバリ、欧州のおとぎ話に出てくる妖精王オベロンで、言語学関係なし。
その他の二人は、古代文字の解読に成功した学者から。過去の叡智を現代に橋渡しするイメージ。

・シャリポ:ロゼット・ストーンを解読したフランスの古代エジプト研究者、シャンポリオンから
・フェント:古代ペルシアの楔形文字を解読したドイツの古代史家、グローテフェントから


■オクト一派
「新しい言葉を生み出し人々の暮らしに影響を与える権力者」というイメージで、古代ローマの皇帝や軍人をネーミングの元ネタにしてます

・坂江オクト:ローマ帝国初代皇帝(カエサル)で、「8月(August)」という言葉の由来となった、オクタウィアヌスから
・椎名ジュリア:共和政ローマの独裁者で「7月(July)」の由来となった、ジュリアス・シーザーから
・飯房アグリ:オクタウィアヌスの腹心、ウィプサニウス・アグリッパから
・セイヤ:皇帝ティベリウスの親衛隊長、セイヤヌスから


■王宮関係者
江戸時代の蘭学者たちに、間接的に関わった人物が元ネタです

・椎本フラン:鎖国日本を調査し「シーボルト事件」を起こしたドイツ人医師フランツ・シーボルトから。外の世界からやってきて、蘭学界の転機となったというイメージ。
・ハンシイ姫:玄白の手記「蘭学事始め」を世間に広めた、福沢諭吉から。福沢せんせーの諱は範(はん)字は子囲(しい)

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