撫子小唄は、まだ個人が個人で独立したwebサイトを持つのがフツーの時代に書いたものです。
その頃の888-878は、改行が嫌いで漢字表記が好きという、およそwebで小説作品を読んでもらうには適性の低い作風でした。
画像コンテンツの流行の後に、日記コンテンツの流行が来て、なにか日次でアップできるコンテンツを考えたくなりました。
できるだけ行を短く区切って、改行も空行も入れて書くスタイルは、自分の持ち味とはとてもかけ離れた「おしゃれ」なスタイルだと考えていました。
それを「おしゃれ」と捉えてしまうこと自体、勘違いの元なんですけれどもね。
でもまあ、関東在住の私に取っては、
渋谷、原宿、代官山界隈で、
インテリアデザイナーで、
若くして金銭には困らない、
というのが、おしゃれ、だと思ったんですね。
「おしゃれ」を書くから「おしゃれ」の文体で、と思いつつ、背景やいきさつのどうのこうのは「くどくどしいから却下」として、読み手の方が取っつきやすいかどうかの配慮もなく、ただただ自分の夢想する「おしゃれ」の路線に突っ走った結果が、
「撫子小唄」という作品にまとまった次第です。
途中のプロットポイントとラストシーンは初期から決まっていたのですが、
書いてみると、なかなか思う通りにことが進まず、
ほんの半年間程度でさくっとまとめるはずが、
足かけ3年くらいかかってしまったことを覚えています。
時間の転換とか「理解して読んでください(付いてきてください)」といわんばかりの飛びっぷりで、
あとから、全編を読み返して、時間(場面)の転換の説明が必用と思い、
章のタイトルを使って時間転換の説明に代えさせたという作品です。
ホント、今見直してみても「むー」とうなってしまうところはあるのですが、
決して嫌いな作品というわけではなく、
100%の888-878のスタイルが出ている作品です。
できれば気負わず、
「なーんとなく撫子さんのようすがわかればいっか」
くらいの軽い気持でお目通しください。
毎日更新します。
全編で、百四十五話の構成です。