「蒲生氏郷」を読み終える。
青空文庫をコピペしてwordの横書きにして読んでいたが、A5サイズで200枚以上にもなるので面倒になり、図書館のちくま文庫のアンソロジーを借りて最後の50ページほどを読み終えた。
戦国大名の駆け引きや腹の探り合い、謀略、忍者を使っての情報戦、などなどが威勢の良い文章で描かれていて、慣れると苦にならず最後までずっと名調子だった。
天下統一寸前の秀吉の命令で、伊達政宗の抑え役として東北に配置された蒲生氏郷だが、最終的に伊達政宗は悪く、秀吉は大物として書かれており、他の時代小説やドラマの印象からするとチグハグな感じがある。氏郷と政宗の仲介役として前田利家が出てくるが、いま一つこの人の性格や運命が分からないので、ただの仲介役としか見えない。
続いて他の短編も読んだ。「野道」でただ野道をブラブラするとか、毒草を食べそうになって年配者に叱られる露伴像は意外だった。物知りの露伴も若い頃の露伴も、文章や気性は常にさっぱりしている。
露伴の威勢の良さは以前にも感じられたが、「貧乏」の夫婦のやり取りを読むとそれが全開になっていて面白い。落語に出てくる江戸弁のもっと濃い奴で、カルピスの原液のような濃さであった。