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「峠」「燃えよ剣」の巻

DVDで司馬遼太郎原作の「峠」を見て、クライマックスの盛り上がらなさが意外なほど、これで終わっちゃうのかなと思ったらあっさりお終いで、物足りない。

「文章で書くと名場面だが、それを映像にすると意味がわかりにくい」

という典型例かもしれない。

「士道とは、何とかかんとかじゃい!」

「命なんちゅうもんは、どうたらこうたらなものよのう!」

格言風に大声を出すのだが、そもそもこの人がどういう人物かが伝わりきれないまま話が進み、結局、役所広司のアップばかりが印象に残る。

途中までは、明治維新の東軍と西軍の狭間に立って、武装中立を目指すという視点が斬新に感じられたが、山場が地味なので半端な感じになってしまった。

続いて「燃えよ剣」を見ると、こちらはおよそ2時間半があっという間だった。岡田准一、柴咲コウのカップルが地味にしていても画面が華やかになる。全体にテンポが良すぎるほど良く、快速列車のように速い。

結果として情報量が多くなり、たまに入るアクション場面は体や剣の動きを追えないほど鋭い。メリハリがはっきりしている。

鳥羽伏見の戦い以降は、ズルズルと退却していくばかりなので他の新選組映画では省略されがちだが、本作では比較的長く、詳しく描かれていた。

台詞がほぼ意味不明(聞き取れない)とか、テンポが速すぎて情勢が分からないという感想を目にしたが、ついに自分は「わからない側」と「わかる側」の後者に来たらしい。

新選組関連の本を何冊か読み、映画を5,6本は見ているので大筋がみな「いつものアレか」と理解できる。金と女に汚い芹沢鴨が出てきただけで「あと何分かでこうなる」と分かるので、セリフがなくても特に困らないのであった。

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