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「ハムレット」と「西遊記」の巻

以前にも書いた気がするのだが、「ハムレット」が日本で最初に上演された時、

「これって『西遊記』に似た話があるんですけど?」

と物言いをつけた人が、森鴎外だったという。

私はそれを雑誌「幻想文学」で読んで知った記憶があるような、ないような、具体的にどの号のどの記事かまでは定かでない。

それでも、おそらく二十代の頃からずっとこの件が気になっていた。

もともと「ある国の善良な王子様が、悪者に国を乗っ取られてしまう」的な話があり、それがヨーロッパ方面に流れたものが「ハムレット」に結実し、東洋へ流れたものが「西遊記」の1エピソードになったらしい。

では「西遊記」のその話は、どの程度「ハムレット」に似ているのか。

やっとそれを確かめたのは昨年のことで、結論からいうとあまり似ていない(岩波文庫版で4巻の終盤)。よく鴎外は気づいたよなと感心するレベルであった。

という訳で結局、自分で「ハムレット×西遊記」を書く際にはほとんど参考にならなかった。

ちょうど一年前の今ごろに悩みながら、ああでもない、こうでもないと考えていた。当時「第0章」として書いていたのが今、公開している「序章」にあたる。

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