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「ユートピア」の巻

シェイクスピアの史劇をドラマ化したものを観たことで、中世ヨーロッパに親しみを感じられるようになった。

で、ヘンリー8世の頃の人にはトマス・モアがいて、この人の書いた「ユートピア」を読んでいる。

序盤はやや退屈しかけたが、真ん中あたりでの金銀の使用法や価値について、非常に卑しいものとして扱われているくだりが良かった。

外国からユートピアに来た人が「ここは貧乏な国だ」と勘違いして、金銀のアクセサリーを見せびらかそうと着飾って訪問するのだが、それがユートピアの人びとの目にはどう見えるか、という描写は、当時さぞ衝撃的だったろうと思わせる。

井上ひさしの「吉里吉里人」のラストを思い出させる箇所もあって「あの発想の元がこれだったのか」と驚いた。中学一年くらいの頃に読んだので、40年ぶりに真実を知ったような気になった。

とにかく「もしも」の話としても、シミュレーション小説としても、現代SFの祖先なので、読んでいてあちこちで「これぞSFだ!」と言いたくなる。

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