やくざ映画は、「やくざ」そのものを賛美しにくくなったために80年代以降はすっかり下火になり、客足は遠のき、制作本数は激減したという。
しかし、Vシネマや単発のヒット作は存在するし、「アウトレイジ」はシリーズでヒットした。また、ヤンキー映画はその系譜を間接的に継いでいるような面がある。
という訳で「今日から俺は!! 劇場版」を見て、これがなかなか面白かった。しかし漫画版、テレビドラマ版を経ての劇場版なので、いきなりこれを観ても関係性が今ひとつ分からない。分からないなりに関係が複雑になる過程が楽しめたというべきか。
途中、佐藤二朗やムロツヨシが出てくるくだりになると急に退屈になるが、監督が特に何度も起用しているらしく、そこは内輪臭が漂っている。逆に悪役の柳楽優弥は悪い、強い、やることが汚い、しかも格好いいという悪のオーラが漂っている。
やくざ映画の場合は「女」が出過ぎると夾雑物になってしまうので、添え物にならざるを得ない(そこをうまく乗り越えたのが「極妻」)。ところがヤンキー物は脇役の女の子がいくら美人でも、強くても、可愛くても、弱くても少しも邪魔にならない。清野菜名、橋本環奈、山本舞香と主役級の三人が揃ってもうるさくならないのであった。