以前、読書会をやっていた頃に、新しく入ってくる人が「新潮社が好き」と言っていて、やや意外に思った。
確かに自分が中学、高校生くらいの頃(80年代)までの新潮社は格好良かった。大学でいうなら早慶上智+東大京大の良いイメージだけを丸めて固めたような、知的でスマートで本格派、高級で最先端で庶民にも優しいという印象である。
しかし、何というか今は全然「そこまで」ではない。むしろ本好きなら、ちくまや学術系の文庫や、他社の新書の方に親しみを感じるのではないか。
いつからそうなったのだろうか。思い起こすと、自分がやや変だなと思ったのは「新潮OH!文庫」というレーベルが始まった時で、かなりネーミング的にひどいなと感じた。
最近だと差別関係の記事が問題視された「新潮45」の廃刊とか。何というか「知的でスマート」なイメージからかなり遠い。
もっと前だと90年代の「本の雑誌」で「好きな出版社・嫌いな出版社」という企画があり、新潮社のイメージは当時のランキングではかなり上位だった。
しかし、その結果を見た誰かの発言で「新潮社はよその出版社が育てた作家を持って行く」という内容があり、妙に納得したものだった。
(続く)