図書館で小説「ゴッドファーザー」の上下があったので借りてみると、映画のミッドポイントにあたるシーンが真ん中(上巻の最後の方、および下巻の冒頭)にあって「やっぱり!」と思う。
この映画の前半はタイトルの通り「ゴッドファーザー=ドン・コルレオーネ(=マーロン・ブランド)」という等式がガッチリできているが、後半はそれが揺らぎ、ひっくり返され、結論が出るという方向に進むので、対称性がはっきりしている。だからミッドポイントも明解である。
ツイッターのまとめサイトで「ローマの休日」の構造を分析したものも読んだ。これもやはり「ミッドポイントはこれだ!」という象徴的なシーンがある。
白黒映画の「奥様は魔女」もつい最近、見直したのだが、これもど真ん中にはっきりしたミッドポイントがあった。これはコメディなので、主人公の魔女の計略が「大成功するつもりが大失敗」に転じるという、急転直下型とでもいうべきものだった。
失敗というより「ドジを踏んだ」というか、微笑ましい失敗で、ここだけでなく話のどこもかしこもチャーミングに出来ているので、「うちのパパがローマ帝国を破滅させたのよ」なんていうセリフまで可愛らしい。
もしこの手の失敗が「ゴッドファーザー」の中間部にあったら、もうそこでお終いとなる。コメディは失敗からかえって面白くなるので、むしろ成功してはダメなのであった。