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「国マニア」の巻

本にも様々な関係があって、ひとめ惚れして熱烈に読み耽るような本もあれば、長年ずっと枕元におき続けながら未読の本もある。

「国マニア」という、珍しい国を多数紹介している本があって、これはかなり前に単行本を買った。

その後はパラパラ眺めて拾い読みしては寝てしまうといった距離感で、ずっと深い関係にならず付き合っている。

昨日もひょっこり目の前に出て来て、

「何だ、こんな所にいたのか」

と思いつつ、また数ページ読んで寝てしまった。

とにかく信じがたいような、信じるしかないような奇妙な国が多い。

↓(目次より)

第1章 
小さくても立派にやってる極小国家ベストテン(バチカン市国―潜在的“国民”は一〇億人以上!?世界最小の大国家;モナコ公国―殿様商売と思いきや、意外に時代をつかんだ商売上手 ほか)

第2章 
国の中で独立するもうひとつの国(アトス山(聖山修道院自治州)―東ローマ帝国の勅令が生きる女人禁制の山
コソボ共和国―民族の聖地への、強すぎる思いが生んだテロの応酬 ほか)

第3章 
ワケあって勝手に独立宣言をした国々(沿ドニエストル共和国―レーニンの銅像がそびえる、今も「ソ連」な国;アブハジア共和国・南オセチア共和国―ソ連の亡霊に悩まされるカフカスの小国 ほか)

第4章 
常識だけでは判断できない珍妙な国・地域(ピトケアン島―絶海の落人島は書類一つに五三〇〇km;スバールバル諸島―日本人でも自由に暮らせる不思議な外国 ほか)

第5章 
かつてはあったこんな奇妙な国・地域(ビアフラ共和国―大国のエゴが生んだ二〇〇万人の犠牲者;東パキスタン―宗教だけで作られた、世界最遠飛び地国家の破綻 ほか)



いずれも空想の所産ではなくて事実なので、平凡だが「事実は小説より奇なり」と感じる。

また、人間の作るルールの集積物であるような「国」も、かなりの出鱈目と非合理性が固まってできているケースが多々あるのだと知ると、精神が自由になるというか、のびのびした気持ちになる。

この本は自分にとっては名著で、人にもお勧めしたい軽さと広さと奥深さ、そして何となくのユーモアがある。

そのユーモアというのも「笑わせよう」とする種類のものではなくて、人間の存在そのものや、あらゆる営みから自然に漏れてくる可笑しさである。

今はちくま文庫から出ているので、まだ買えそう(しかし気づいたら絶版になっていそう)。

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784480427250

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