「BBCが選ぶ21世紀最高のドラマ!」という「クイーンズ・ギャンビット」の全7話分を要約して47分にした映像を見た。
「勝手にYoutubeに要約を流していいんですかー!」
と問われたら、おそらくダメな部類に入りそうだが、予告編みたいなものかと思っているうちに全部見てしまいました。
内容は、孤児院にいた女の子が天才的なチェスの才能を開花させ、賞金稼ぎのプレイヤーになって、クライマックスはロシアのマスタープレイヤーとの大勝負、となるのだがあまり大きな捻りや「これが新しい!」というアイディア、展開はなかった。
成長物語と言っても谷の部分は途中やや酒で失敗する、といった程度のものだし、致命的な大ピンチは訪れない。
普通といえば普通で、これなら日本の将棋漫画やスポーツ漫画の方が複雑で精妙なのであった。強いていうなら2日間の対局で、封じ手をした後で、プレイヤーの知り合い同士が協議して「今度はこういう可能性があるから、こういう風に指せ」とアドバイスする場面があるのは意外だった。日本ではそれは反則である(ついでに言うと藤井竜王が次の対局で、名人を奪取しそうな状況の方がドラマチックである)。
ドラマ全体としてはファッションや美術、音楽その他の魅力があるし、主演女優の力もかなり大きい。
で、実は調べてみるとこの原作がかなり昔の小説で、原作者はウォルター・テヴィス、とあった。
この人は私の知識としては「地味なSF作家」として知っていて、短編集「ふるさと遠く」を持っていたくらいだが、実はこの他に「ハスラー」や「地球に落ちてきた男」など、有名な映画の原作になった作品がポツポツあって、そのポツポツがほとんど全作品という人なので寡作ながらすごい打率である。
それにしても、まさか本作が「21世紀最高のドラマ」とまで称賛されるとは、原作者本人も予想していなかったのではないだろうか。