本ばかり読んでいると、書き手の自意識が鬱陶しく感じられることがある。
自分の書いている文章ですら、自分で読んでいて「自分」の存在が邪魔に思われることがある。
いわゆる私小説的な純文学とか、現代詩とか、短歌とか、腹立たしくなることすらある。
特に短歌は、「自分! 自分! 自分!」と、自分ばかりをアピールして迫ってくるような印象を受ける。
そこへ行くと俳句はシンプルで、もちろんその人なりの視点や感じ方も滲み出るものだが、短歌に比べるとずっと薄味なので、そこがよい。
たまに俳句をたくさん読むと、頭の雑音が整理されたようになる。
今日読んだアンソロジー「天の川銀河発電所」より津川絵理子の句。
直線のふくらんでゐる新豆腐
くちばしの一撃ふかき熟柿かな
小鳥来て声につながる山と山