筒井康隆の「聖痕」を3分の2くらいまで読んだ。
冒頭の衝撃的な事件から次は論理的にAになり、ということはBという次の難題があり、それならばC、その次はD、という具合に理屈の繋がりが強く、次の段階の事件や問題が休みなく起き続ける。
主人公は気の毒で可哀そうな人物で、同時に聖人のような現実離れした憧れの存在でもあり、その二面性が面白い。
幼少期を経て大学時代以降、ますます論理的で、現実的で、かつ飛躍もある展開で、先へ先へと読みたくなる。
単に聖人の話ばかりではなく、ノワールや川端康成の描く「悪」よりも複雑で、犯罪や犯罪に近いような行為もずっと出てくるので厚みがある。