AI小説がまた議論に挙がっていましたね。このままでは創作活動がAIにとって代わられるんじゃないかという不安の声を聞きます。ですが私は人間の作家の挑戦の時代が来ると胸を躍らせています。というのも私自身が元SEだったので、機械にプログラムを打ち込んで、人間の思い通りの結果を得るのは非常に難しいことを知っているんですよね。プログラムは完璧に思えてもどこかに絶対にバグがあるものです。AIに「銀行の金融システムを作って」と、それだけ命令してもできるわけがありませんよね。小説も同じですよ。思い通りの結果が得られるまで詳細な条件や必要な情報を打ち込むなら、最初から自分で小説を書いたほうが早いんじゃないかな。伝統芸能で『守破離』という言葉があります。最初は師の教えを守り、次に教えを破り、最後に離れて自分だけの道を作る。AIはパターンをなぞる守は抜群に上手いんですが、新しいアイデアを出したり、個性を身につける破と離は不可能です。仮にそれらしい結果を出力したようにみせても、それは意識してそうしているわけではありません。正しく破と離ができるのは人間の作家だけです。なので人間の作家の皆さん、新しい挑戦をしましょう。これまでにない創造をしましょう。それこそが創作の本質だと思います。そして何より、創作を楽しみましょう。皆さんの熱い創作を待ってます!
ダンジョンが出現した現代。業界最大手クラン"竜の山"に所属しながらも、万年D級探索者のおじさん・小島三太は、ついに早期退職を言い渡されてしまう。非正規の派遣探索者として再就職した彼だったが、その派遣先は、才能あふれる美少女女子高生パーティだった。
昼行灯のおじさんキャラっていいですよね。普段は影が薄いけど、イザというときには頼りになるベテランっていうものに男は憧れを感じてしまうのです。
小島三太もそんなおじさん。派遣されたパーティは、美少女JK三人組で、万年D級おじさんの手助けなんて必要がない。しかし派遣先の美少女たちは、若さと才能こそあるものの、経験不足ゆえに多くの壁にぶつかる。そんなお悩みをお節介おじさんが解決していくのです。
秘めた実力や隠されたチート能力など一切ない。正真正銘D級の彼が、長年の経験と業界知識、玄人ならではの妙手と、時に卑怯ともいえる立ち回りで少女たちを導いていく様が痛快で、読者をニヤリとさせます。
年の差にもめげず、若者に本気で向き合うおじさんの奮闘。ダンジョンよりも手ごわい"世代の壁"に挑む彼の姿を、どうぞお楽しみください。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)
スポーツへのAI活用が認められた未来。英国フットボール界のNo.1ストライカーであるシド・マクリーは、戦術AIに管理されたプレイに疑問を覚える。感情すら支配された世界で、「人間としての自由なプレイ」を取り戻すことを決意し、シドは世界へ挑戦状を叩きつける。
登場人物たちのむき出しの本能、感情の奔流、激しい情熱の嵐に圧倒されました。
最適化された未来のフットボールでは、どれほど華麗なゴールを決めても、観客も選手も感情を抑制され、何も感じない。ただ淡々と戦術AIの指示に従い、コートを走り、ボールを蹴るだけ。すべてが無機質な世界の中で、ひとり感情を解き放つシドだけが、灼熱のマグマのように熱く輝いているんですよ。
戦術AIに逆らい、監督にも従わないシドは、当然ながら批判の的となる。チームメイトから孤立し、ついにはプロ契約の打ち切りを告げられる。それでも彼は不敵に嘲笑い、自らのプレイで「本当のスポーツとは何か」を訴え続ける。コートを駆ける一歩一歩に彼の人生が宿り、ボールを蹴る一瞬一瞬に誇りと意地が燃える。シドの情熱あふれる姿に胸が震えずにはいられませんでした。
そして彼のプレイに心を揺さぶられた他の選手たちも、次第に眠っていた闘志を取り戻していく――。スポーツへの熱狂と興奮が描かれた物語です。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)
全世界を巻き込んだ『大覚醒』によって、人類はESP能力に目覚めた。思念波の暴走を防ぐため、未熟なESP能力者たちは隔離区域サイオポリスで訓練の日々を送っている。中学一年生の勾坂柚葉は、両親と離れて暮らしながらも、友人たちと平穏な青春を過ごしていた。
そんな柚葉のクラスに転校生・和奏が現れる。彼女が持ち込んだ"ロック"という音楽が、閉ざされた世界に新しい風を吹かせ、静かな日常を少しずつ変えていく。
緻密なSF設定と学園ドラマが絶妙に融合していました。外の世界では能力者への差別や暴動が絶えない一方、サイオポリスの中では平和な学園生活が描かれる。その中で学生たちは、勉強や部活動に励み、恋をし、時にテレパシーで語り合い、ESP訓練を受けながら日々を生きている。日常と非日常が絶妙に混在する世界観が引き込まれるんですよ。
物語はまだ序章に過ぎませんが、和奏の登場を機に、柚葉たちがどのように成長し、どんな未来を切り開くのか。学園異能バトル×ガールズバンドという要素に注目しつつ、今後のストーリー展開への期待に胸を高鳴らせます。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)
高校一年生の人見純と相原さと子。たまたま学食で出会い、いつしか親友となった二人が、今日も学食で昼メシトークに花を咲かせる。日常系グルメストーリーです。
二人の通う高校は、進学校でありながら学食の充実ぶりで知られている。そのメニュー数はなんと50品以上。『焼肉定食』や『カレーライス』といった定番メニューをはじめ、『ラーメン』、『ナポリタン』などの麺類。『麻婆丼』、『ロコモコ丼』、『チキン南蛮丼』など丼ものも豊富。さらに夏にしか登場しない『冷やし中華』など期間限定メニューもあるこだわりよう。
好き嫌いなく何でも美味しく食べる二人の食欲が、気持ちがいいんですよ。大盛りの唐揚げもぺろりと平らげ、放課後に買い食いする余裕すらある。育ち盛りの高校生ならではの健啖さが羨ましいほどです。
食事の合間には、学園祭や定期テストなどの学校行事の様子が垣間見えるのも、学生の日常をそのまま切り取った空気感が味わえて、また懐かしさをかき立てられるんですよ。
さらに噂に囁かれる『裏メニュー』の存在、それを頼むには全メニューを制覇する必要があるという……。真相を確かめるため、二人の"学食への挑戦"が始まります。青春の活力は、胃袋から。どこか懐かしくて温かい、食と青春の物語です。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)