ラノベのヒロインというと転校生か幼馴染かというのが昔ながらの定番ですが、最近では付加価値をつけるためにお嬢様だったり、お姫様だったり、セレブ要素がプラスされるようになってきました。ジャンルによっては人気アイドルや、ファンタジー小説ならエルフだったり、聖女だったり、種族や社会的地位による特別感を与えるのが常套手段ですかね。特別な存在への憧れというのが誰にでも普遍的にあるのだと思います。さて今回は、そんなお嬢様と男性主人公の組み合わせの作品を選んでみました。自分の好みのお嬢様像だと、主人公を振り回して困らせてこそお嬢様だと思うのですけれども、みなさんはどうですか?

ピックアップ

お嬢様を救え! 少年従者は闇堕ち令嬢を守りたい

  • ★★★ Excellent!!!

 奴隷の少年ニアは、とある侯爵令嬢に買われた瞬間、前世の記憶を思い出し、この世界がファンタジー小説の世界で、彼女が闇の精霊に取り憑かれて討たれる運命の悪役令嬢クリスティーナだと気がつく。ニアは従者として彼女に起こる悲劇を回避するべく陰ながら動き始める。

 自分を奴隷から救い上げたクリスティーナへの恩返しを誓うニアくんの素直さが微笑ましく、「呪いの子」として家族からも疎まれる自分にストレートに敬愛をぶつけてくるニアにときめくクリスティーナの乙女心が初々しくてたまりません。

 ニアよりも前にクリスティーナに仕える無表情ブリザード美少年のクリアと、ボクっ娘の使い魔のシャルを先輩に従者としての教育を始め、お嬢様のそばにいるために学院島への進学を目指して魔法を学び、無気力だった奴隷の頃から比べると意欲と行動に満ちあふれて見違える変化が好ましいです。

 なにかも見習い未満のニアですが、これからの成長を見守りたい。


(「お嬢様と僕」4選/文=愛咲 優詩)

悪役令嬢相談窓口! 漆黒の騎士は今日も悪役令嬢に絡まれる

  • ★★★ Excellent!!!

 公爵家子息にして騎士団長、おまけにイケメンと三拍子揃ったジェド・クランバルは、悪役令嬢を呼び寄せてしまう特異体質だった。

 彼の元には婚約破棄されたり、断罪されたり、追放されたりと将来的に悲劇が待ち受ける悪役令嬢たちが助けを求めてくる。

 パーティに参加すれば婚約破棄の現場に居合わせ、非番に街を歩けば剣を持った悪役令嬢に追いかけられ(?)、寝ていれば夢の中に悪役令嬢が現れ(?)……etc,etc。

 王道から変化球まで悪役令嬢ものパターンをコンプリートする勢いで、ジェドの周囲にだけ悪役令嬢絡みの事件が絶えないのが愉快です。

 悪役令嬢たちは自分の人生がかかっているので鬼気迫るぼどに真剣なのですが、ジェドにとっては厄介事にすぎないので塩対応なギャップも面白く、仕事のできる完璧超人の皇帝のおかげで、すぐに新しい婚約者を紹介したり、田舎でのスローライフを案内したりと1エピソードでサクサク解決していくのが小気味良い。

 定番ネタのパロディが秀逸な新感覚の悪役令嬢ものです。


(「お嬢様と僕」4選/文=愛咲 優詩)

お嬢様は絵画がお好き! 貧乏画家の遭遇するオカルトミステリー

  • ★★★ Excellent!!!

 美術館や画廊が集まる芸術の都ピータバロ市。市内に建つピータバロ・シティ・アカデミアは、表向きは資産家の子女が集まる名門美術学校だが、裏では非合法な手段で手に入れた絵画を取引する闇ブローカー集団だった。

 ひょんなことから真実を知った貧乏画家のキースは、元締めである女教師レイチェルに贋作師としてスカウトされる。一度は誘いを断ったキースだが、女子生徒ミリーから「教師陣を追い出して、真の芸術が集まる美術館を作ろう」と持ちかけられ……。

 非凡な才を持つが芽が出ず、いつも厄介事に首を突っ込んでしまうお人好しなキースと、美術の知識に詳しくお転婆なお嬢様ミリーの凸凹コンビが楽しくていいですね。

 そしてイギリスといえばホラーがつきもの。幽霊から自画像を依頼されたり、絵に閉じ込められた息子を助けて欲しいと頼まれたりと、実にオカルティック。その過程で犯罪組織とトラブルになったり、殺人鬼と出会ってしまったり、事件の真相にはさらに一捻りあって興味をかきたてられます。

 コミカルなドタバタ展開で飽きさせない絵画ミステリー。


(「お嬢様と僕」4選/文=愛咲 優詩)

ラブコメは勘違いから! オタク少年と天然お嬢様のすれ違いラブコメ

  • ★★★ Excellent!!!

 変身美少女アニメシリーズをこよなく愛するオタク少年・風見隼人は、ある日学園美少女ビッグ5と呼ばれるお嬢様・南条椿から「私と付き合ってくださいっ!」と告白される。

 有頂天になった隼人だったが、告白は南条さんの言葉の綾で「お友達になって欲しい」という意味だった。翌日、勘違いが学校中に知れ渡り、周囲から集まる憐憫と恥ずかしさでいたたまれない隼人だったが、二人の関係はここからはじまるのだった……。

 実は本気で隼人と恋人になりたい南条さんと、勘違いを怖れて慎重に距離感をはかる隼人のすれ違いにニヤニヤしてしまいます。

 お互いに探り探りながらも、一緒に映画館に行ったり、雨宿りで「ウチよってく?」とか誘ってみたり、ファミレスでお喋りしたり、遊園地にいったり、手作りのお弁当を一緒に食べたり、学生らしい青春イベントがてんこ盛りで、これでもかと甘酸っぱい!

 そして奥手な二人をくっつけようとアレコレお節介を焼く周囲の人々の苦労も泣けますね。頼むから早いところくっついてくれ!


(「お嬢様と僕」4選/文=愛咲 優詩)