硝子と空蝉

　《アストラルプレーン》は未来予測すら可能にするAIによって統治される人間の居住区域である。その街では人の叡智の結晶ともいえる抜きん出た技術力により、ほとんどの人間が義体で生活をしていた。
　ある夏の日。執政部直属の研究所で働く非才の研究者の保科硫は最高AIの末端である少女シリカからデートに誘われる。シリカと共に祭りを回りながら、懐かしさと楽しみを覚え始める保科だったが、祭りが進むにつれてその振る舞いに対する疑念を深めてゆく。夏祭りの終焉を告げる花火が上がる中、シリカは遂に彼を連れてきた本当の目的を語りだすのだった。

シナリオ修行の一環として書いた三万文字ぐらいの習作です。
隔日投稿を目指します。
縦組み推奨。