背後霊でございます、お嬢様

　山田太郎、享年７０歳。
　そろそろ自動車免許を返納しなきゃな、と思っていた矢先。
　妻に先立たれ、子は独立し、自由気ままな旅行先。良くある話で、アクセルとブレーキを踏み間違えて駐車場からダイブして死亡。
　気が付いたら、見ず知らずの少女の背後にへばりついていた。
　いわゆる背後霊である。
　が、背後から見聞きする限りでは、この世界はどうやら魔法やら何やらがある「異世界」というものらしい。加えて、彼が背後霊として憑依した少女は、かなりの天然。純真すぎて、危なっかしい。
　当面、背後霊として出来るのは、彼女がこちらに注意を向けている時に助言をすることだけ。が、それすらすんなりとは受け入れてもらえない有様。
　ジジイと少女の、不完全二人羽織りの明日はどっちだ？