勇者の末路
第1話
町の人達を虐殺していた魔王を倒し、俺は町の仲間たちと宴を開いた。たくさん酒を飲み、とても心地よい時間だった。しかし悲劇は突然起こった。酒を勢いよく飲み過ぎたせいで、俺は急性アルコール中毒になって死んでしまったのだ。
目が覚めると、そこは真っ白な世界だった。ここがあの世なのか?そう思いながら、適当に歩いていると魔王の背中が見えた。魔王は天国への扉に向かって歩いて行ったのである。僕はその背中を追って中に入ろうとすると、門番が僕を静止した。
「信仰している宗教はなんだ?」
「そんなのどうでもいい。早く中に入れてくれ。たくさんの人を殺した魔王が天国に行ったんだぞ」
「そりゃそうだろ。あいつ、〇〇教の信者だぞ」
「……は?」
「〇〇教は人を殺しても祈れば天国に行けるんだよ」
「そんなのあいつに殺された人達が可哀想だろ」
「でもこの手帳を見る限り、あいつは町の人を虐殺してなんかいなかったぞ。していたのは父親の方だな。……まぁ、あいつも不法侵入してきた勇者を5人殺しているけど」
「そんな。……それじゃ僕は天国には行けるのか?」
「信仰してる宗教は?」
「何も信仰していない」
「じゃあ、あいつに聞くことだな」
門番はそう言うと右の方を指差した。200m先に閻魔大王のような男が座っていた。
「嫌だ。地獄には行きたくない。だからここに入れてくれ」
俺は門番に泣きついたが、彼は俺を冷たくあしらった。
「無理だ。神は信じている人間しか救わないんだから」
「そこをなんとか」
「じゃあ、聞くが自分が同じ立場になってみたらどうだ? 現世で散々神はいないだ頭おかしいって言ってたやつが自分に縋り付く。神はどう思うと思う?」
「お前はただの門番だろ。神と話をさせてくれ」
「……門番? 何言ってるんだ。私は神だぞ」
「お願いです。私を助けて下さい」
「最後のチャンスをやろう。私は何教の神だ?」
「えーっと、△△教?」
「……はぁ。お前が神だとして、宗教名すらまともに言えない奴を救いたいと思うか?」
「……」
「何も恐れる必要はない。自分が本当に正しいことをしたと思うなら、あそこで聞いてくればいい。もしかしたら、無実の魔王を殺したとしても天国に行けるかもしれないぞ」
「本当に?」
「あくまで可能性の話だ。まぁ。あそこだと、事故で人を殺した場合も大体は地獄行きになるがな」
「……俺が一体、何をしたって言うんだ」
「何って、神を信じず人を殺したんだろ?」
勇者の末路 @hanashiro_himeka
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