起きたら科学者に両腕を改造されてたんだけど
KEMMY|けみー
起きたら科学者に両腕を改造されてたんだけど
「ふぁ~……ちょー寝たー……」
「やばっ!今何時!?……8……8時半!遅刻じゃん!!!」
「おかぁーさんっ!!!
なんで起こしてくれないの!!!
遅刻じゃんっ!!!!
ねぇ!!
聞いてるー?!」
「あー、ダルっ……
お母さんも寝坊してんじゃんこれ。」
「とりあえず、支度だけしないと」
「まずは歯磨き…」
洗面台に立ち鏡を見ると紫の長い髪がボサボサに絡まった覇気のない目をした自分の顔が映る。
歯ブラシに適量の歯磨き粉をのせ歯を磨く。
寝癖がちょっと強めのいつもの朝。
——チューィイイイイイイイイン
「チュイーン?……」
——チュドーン!!
轟音とともに右の壁と、となりの山田さんの家が消し飛ぶほどの威力の閃光が、顔の前を横切った。
「は?……」
「なに……コレ……」
「え?手……コレ……え?……」
「おかぁさーん!!!!!!
ちょっと!
ヤバイヤバイヤバイ!!!!
山田さん家消しちゃった!!!
消し炭にしちゃった!」
叫びながらリビングに駆け込んだ
「おかあさ——って……
誰ぇええええ!?
おっさん誰ぇ!?」
「おう……おはよう」
「おはよう……
いやっ!!
おはようじゃなくて!
誰よ!!」
「誰って……
あっ、動いてんじゃーん!
それ!その手つけたやつ。俺」
「はぁ!?
何言ってんの!?
いや、何してくれてんの!?
てかなんでうちに当たり前にいんの!?」
「うるせぇなぁ。
言葉覚えたての3歳児か。
どんだけ疑問に溢れてんだよ……」
「誰だってこうなるわ!!!
え?なに?あんたがつけたって……
この……変な手……あんたがつけたの?……」
「変なって……
ちゃんと女子高生らしく可愛いピンクの塗装にしてあげてるだろ?」
「色の話じゃねぇ!!!」
——メコッ!!
「——あいたぁ!!!!
ちょちょ……
何してんの!?
見てめっちゃ血出てる!!
血!わかる?!血!!白衣真っ赤!
えぇぇ?……
何このバイオレンス娘……
それ鉄塊よ!?……
ロボットアーム!……
そんなんで殴っちゃだめでしょ…」
「うっさいわ!!
千と千◯の千尋か!
てか、それ言うなら、
人の手ロボットアームに勝手に改造しちゃだめでしょ!!!」
「いや……勝手にって……
ちゃんと両親の許可は得てるぞ……」
「え……?」
「ほら、ここ、両親のサイン、
ついでにワンちゃんの血判手形までついてる」
「えええー!?
家族全員快諾してんじゃん!!!
ペットのロコちゃんまで押してんじゃん!!!
なに?
あたし嫌われてんの???
素行不良でどんだけ嫌われてんの?」
「まぁ、躊躇なく鉄塊で人ぶん殴るような
バイオレンスしてりゃそりゃねぇ……」
「もっかい鉄塊行くか?」
「あっ……すみません……
お嬢様……」
「いや……それより……うちの親!
どこいった!?
こんなかわいい娘こんな目に合わせて。
まだ寝てんのか?」
「いや、家にはいねーよ」
「はぁ?なに?
娘改造させて朝のお出迎えもなし!?
何普通に日常送ってんじゃ!!
なんか腹たってきた!!探してくる!!!」
「あっ……まてっ」
玄関に走り、思いっきりドアを開ける
「何……コレ……」
「待てつったろー……」
「おっさん……これ……あれ……赤いの……てか……街……」
「あれは東京タワー……だったものだ……宇宙人に壊された。」
山田さん家なんてあるはずもない。
目の前にはどこまでも続く瓦礫の山。
(このとき思った。直接行かず、電話すりゃ良かったじゃんって……)
「え?……なにいって……」
「なんだ……
やっぱり覚えてねぇのか……」
「は?……」
「12年前、人類は死滅した」
「え?いや?……宇宙人?……
12年……
ちょちょ……
じょーだんきついって……
あっ。か、家族は……」
「さっき言った通り。ここにはもういない…
墓の中だ…」
「……ほんと何言って……
まじで殴るよ……だって!
昨日……おやすみって……昨日……」
「それは昨日じゃない。
記憶が飛んでるんだろうな。
この景色でわかるだろ。嘘じゃない。」
「もう……何言ってんの……
意味わかんない……おっさん…誰よ……
なんで家族じゃなくてあんたが……」
「同僚のお前の父ちゃんに頼まれてな……
重症のお前を助けてって。」
「重症って……なんで家族が死んで……」
「家族は……既に手の施しようがなかった。悪い……」
「悪いって……もう訳わかんない……
なんで私だけ……のうのうと……」
「亡くなる前に改造許諾の署名をもらって改造した……
血がついてたろ?」
「あのロコちゃんの血判……」
「入ろうか……
色々話すことがあるし、約束の続きをさせてくれ。
お前を守る義務がある。」
2013年冬。
1999年の大予言は、
遅刻してやってきた恐怖の大王により2年後に実行され、
私は起きたら両腕と家族を引き換えに、ロボットアームと命を手に入れていた。
家族に別れも言えないまま。
この「起きたら科学者に両腕を改造されてたんだけど」というメールを送る相手はきっともういない。
起きたら科学者に両腕を改造されてたんだけど KEMMY|けみー @kemmy02
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