清浄の魔法士

東井タカヒロ

迷い森

 迷いの森、そこに足を踏み入れたら出てこれない永遠の森。

 そんな森で彷徨い続けるエルフがいた。

 彼女は、この森から抜けようとただひたすらに出口を探し、彷徨う。

 

 霧が濃く、危険な魔獣も何1ついないこの森が恐れられている由縁、それは出ることが出来ないから。

 そんなおとぎ話だと思って、欲しい薬草を探して入ったら、出られなくなるんてね。

 もう、何年この森を出ていないのからしら。

 4年?9年?

 いい加減、外に出たいけど、場所が分からないのよね。

 ふらふらとしながら、迷いの森を真っ直ぐに感覚で歩く。

 ……また、か。

 ランタンを握る握力が強くなる。

 「魔法でこの森ごと焼き尽くしてもいいかな」

 

 大きく溜め息をして、薬草をかじる。

 この森の薬草は貴重なものが多いから、燃やしたくはないんだよね。

 前に魔法でテレポートしようとしても、上手く起動できなかったんだよね。

 この濃い霧のせいかな。

 

 「今日は、別の道で行ってみよう」

 いつもとは違う、道とも呼べない所の草木をなぎ倒しながら進む。

 しばらく歩いていくと、よく知る道に出た。

 「……さっきの場所じゃん」


 くるみが落ちてくる。

 魔獣!?

 咄嗟に杖を構えて、後退りする。

 しかし、そこにはくるみが1つあるだけだった。

 杖を握る手を緩め、くるみが落ちた場所に立つ。

 

 少しくるみを観察した後、空を見上げた。

 そこには、上空で旋回する大鳥がいた。

 ……なんだ、鳥がくるみを落としただけ、ですか。

 急いで空を見上げる。

 空が見えている!?

 

 いつもは、霧が濃くて空が見えないのに、今は見えてる。

 杖を握る手に汗が滲み、口角が上がる。

 「迷い子よ、今集まりしは、魔女の茶会。迷い道を抜け、迷い子を目指す所へ運びたまえ!」

 魔法陣が空中に展開され、呪文の呼応して魔法陣が青白く光る。


 眩しい光に包まれる。

 成功した……?

 目の前には高原が広がり、背後には迷いの森が広がっていた。

 腰が抜け、その場に倒れこむ。

 「あぁ、やっ――と!」

 

 長いこと迷ったけど、目的の薬草も手に入れたし、結果オーライだね。

 迷うこともあったけど、出口を探し続ければ、何かあるもんだね。

 森の神様に感謝しとこ。

 

 体を揺らしながら自分の家への帰路へ就いた。

 「帰ったら、研究の続きをしよ」

 

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清浄の魔法士 東井タカヒロ @touitakahiro

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