思い出の時計

金食い虫

思い出の時計

 腕時計が止まった。友がくれた時計。誕生日プレゼントにくれた時計。少し背伸びして買ったであろう時計。それが、止まった。


 修理屋に駆け込んだ。しかし、部品を変えても動かなかった。原因は分からなかった。


 また別の修理屋に持ち込んだ。だが、やはり動くことはなかった。


 またまた別の修理屋に、、、駄目だった。


 この国最高の時計師を訪ねたが直ることはなかった。


 それでも諦めなかった。スキマ時間を縫って時計の構造の理解に努めた。誰にも直せなかったが自分なら直せる気がした。


 だが、調べれば調べるほどなぜ止まってしまったのか分からなくなった。


 5年ほどこの時計を直そうと躍起になったが、その熱も冷めてきた。そんなとき、ふとあの友に逢いたいと思った。


 当時の同級生たちに連絡をとった。だが、誰も彼も友を知らないと言う。まあ、そんな昔のことを覚えてる奴なんていないよな。


 俺は母さんに連絡してみることにした。


 「いんやあ、知らんねえ」


 残念だ。


 その後も手掛かりを探したが全く見つからない。


 結局時計を直すことは出来なかった。最後の希望であった友も見つけられなかった。


 時計は動かない。だが、なぜか捨てるどころか着け続ける自分がいる。


 どういうわけだろう?

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