初恋の女の子との思い出にパンツ脱いで耽ってみた。
LucaVerce
初恋
【前書き:読者様へ。そして運営様へ】
先に伝えておく。そこの君。そして運営さん。僕は、パンツを脱いでいるとは言ったがち○こが出ているとは一言も言っていない。だってそうだろう?僕がもし、パンツの下にパンツを履くタイプの人間だったら?パンツは脱いでいるが、ち○こは露出されていない。ヒートテックを履いている可能性だってある。
やめてくれ。
僕は、そうやって
パンツを脱いでいる=○ち○ん○こ○、を露出している人間だって脊髄反射で考えてしまうような短絡的な人間のことをはるか高み、神の位置から、軽蔑してしまうから。
さて、僕はここで何かを握りながら、初恋の女の子の事を思い出す。あれは中学1年生の春。僕が入学してすぐの頃だ。当時の僕は花粉症がひどく、春の時期にはずっとマスクをしていた。幸いにも友達にも上下関係にも多少は恵まれた僕は、なぜか花粉の粒子を視覚情報として捉えることができる特殊技能を持っている奴だと思われ、サッカー部の先輩とかに「おまえ!?あのスギ花粉が見えるか?!」などとイジられまくった事を覚えている。
クラスにも馴染み、スギ花粉が去り始める5月頃だったかな。僕は友達と移動教室でどこかの上の階に移動している最中とかだった。それか昼休みの終わり。
階段を上りながら友達と何気ない話を多分していたんだろう僕は、突然「おーい」と、僕がいた階段の先、上にいた女の子に声をかけられた。知らない子だ。
その子は階段の下からでも分かる小柄で華奢な可愛らしい体躯の女の子で、肩甲骨の下角くらいまであるきれいな黒い髪の持ち主だったと思う。顔はその時よく見えなかったような、はっきり見えてたような。とても可愛らしい子だ、僕の小学校には居なかった子だな。
そんな子が「そこのマスクの人ー!」とクリアで、声変わりをまだ通り過ぎてない、女の子らしい声で僕を呼んだ後、明確に僕に向かって手を振ってきた。
僕に向かって。なぜならマスクを付けていたのは僕だけだったから。
とりあえずわけもわからず手を振り返した。
彼女は友達らしき人と共に立ち去っていく。僕は彼女がいたはずの過去の残像をぼーっと見つめる。
隣にいた友達(たっくん)が「あの子、お前(僕)のことすきなんじゃね?」と伝える。
そんなことを言うのは止めてほしい。あまりにも酷じゃないか。
だって、そんなことを言われたら、何年の何組なのかもわからない、本当に存在しているのかもわからない少女の軌跡を追うことになってしまうから。
僕はなんだか、明確に、だけどよくわからないまま数日を過ごす。サッカー部に入る。女バスの先輩がサッカー部の先輩と親しげに話している。僕はなんとなく挨拶をする。なぜか二人に気に入られる。二人に自分のもやもやを相談する。
バスケ部のイケメンの同学年のやつと仲良くなる。そいつには彼女がいた。ぼくはそいつにも相談する。
決まって三人とも「「「恋だよ」」」とにやにやしながら伝えてくる。
まあ確信めいたものはあったし、自慢したい気持ちもあったからいろんな人にに相談した。そういう時期ってある。モテないやつにこそよくある。
その後、彼女は隣のクラスの2組の女の子だったことが分かる。友達がその子の事を知っていたからだ。
美優という同じ小学校出身で、同じクラスの子が僕に手紙を渡してきた。
何だこのモテ期は?でも絶対美優は僕の事を好きになることはない。
僕が小学生の時に給食の時間に、みかんを食べていた。その向かいに美優がいた。全く覚えてないが、何故か僕は笑った。笑った拍子に僕の口の中でぐちゃぐちゃになったみかんが美優の顔面に飛んでいき、彼女は僕のみかんによって完全に汚された。勿論死ぬほど嫌な顔をされたし、僕は先生になぜか怒られた。だから彼女が僕のことを好きになることは絶対にない。。
じゃあこの手紙は何だろう…?美優に聞くと「隣のクラスのゆっこが渡せ、って。」確信した。あのとき階段から僕に手を振ってきた子だ。本当に存在してるんだって確証に変わった
内容はあまり覚えてないが、そこにはメールアドレスが書かれていたことだけ覚える。懐かしい…Emailアドレス。ラインとかでもなくインスタでもない。僕ら世代は「ガラケー」だった。壊れたらただのカスタネットになる奴だ。
授業がとても退屈になった。代わりに家に帰るのが楽しみになった。僕は早くメールをしたくてたまらなかった。
帰る、荷物を置く。携帯を開く。
しかしなんて送ればいいのかわからない…確か僕は悩んだはず…
そこで僕は、本当にしょうもない人間なので、『迷惑メールのふりをして笑わせよう』みたいなことを多分考えたんだろう。確か内容は、大量の絵文字の中に
おめでとうございます!当選しました!
みたいなことを送った。んで確か返事が無くて…飛鳥って友達に相談したら「当り前じゃん」みたいなことを言われた気がする…それで確かその『ゆっこ』に「さっきのは僕です…一組の…」と謝って、そこからデジタルな文通が始まったんだと思う。
そこからは毎日のようにメールをした。
メール内容はほとんど覚えてない。お風呂入るから中断するねってメールが来た時に僕も流れでお風呂に入る。
今頃、「ゆっこ」も入ってるんだな…とか思って…すらなかったような。たぶんその時は発情とかしてなかった気がする。それよりも、早くお風呂を出たいと思ってた気がする。
毎日が彼女のおかげで楽しかった。
学校生活とかあんまり好きじゃなかったし、家も狭いし、テレビもないくらい貧乏だったけど、その子のおかげで楽しかった。
それで、確か話題に困ったんだ。テレビはなかったから。その頃の学生達は「しゃべくり007見たー?」とか、テレビの共通の話題でコミュニケーションをとっていた。
うちには所謂テレビはなかった。でもテレビの代わりになるもので話題をつないだ。
離婚したお父さんが唯一残していったPSPとテレビが見れるようになるワンセグチューナーを二人の妹と一緒に見て、その内容を記憶したうえで「ゆっこ」とのメールのやり取りをつないでいた気がする。我が家は本当にお金がなかったのだ。そんな小さい画面を三人で見るくらい、娯楽がなかった…懐かしい…
そうだそれで、『ひみつの嵐ちゃん』とか『嵐にしやがれ』の話題とかでつないだんだ。嵐の誰が好き?とか。櫻井君のダブルパーカークソダサいよね、とか。
まあそんなこんなで僕はゆっことメールのやり取りを続ける。んで、確かご飯が全く喉を通らなかった時があった。昼ご飯はかろうじて食べられたのだが、晩御飯がどうしてものどを通らなかった。
僕の眼球を最初に支配した彼女は次第に僕の思考をジャックするようになり、最後には飢餓感すらもコントロールするようになる。
脳を支配された僕は彼女のことを四六時中考える。しかし、考えると喉の奥がつっかえたように締め付けられる。ご飯ものどを通らない。恋をしているのか、呪いをかけられているのか、はたまた彼女が寄生しているのか…わからなかった。
恋をしたときに心拍を『ノック』っていう可愛い表現をするときがあるけど、僕にとっては寄生虫と何ら変わらない。ノックではなく、四六時中、心臓や眼球の内側からロイコロクロディウムが暴れているようなものだった。
ロイコロクロディウムはカタツムリの性格を変える寄生虫だ。普段じめじめした暗い墓所のさらに隅っこの裏側を好むようなカタツムリがロイコロクロディウムに寄生された場合、なんと自らの身を鳥類に差し出すかのように明るく、高い場所へと移動する。
鳥にわざと見つかり、食べられるために。
僕は寄生されたカタツムリよろしく。会いたいという衝動に支配され、実際に会いに行こうかとも考えた。
高いところに上って僕のことを見つけてほしい。食べてほしいとも思った(誇張表現…ってやつさ…)
お母さんに相談した。この身に巣くう寄生虫について。
「ねえ、母さん。ご飯がのどを通らないんだ。」僕は熱を測る。確か…正常だった気がする。んでなんやかんやで、合点がいったのだろう。お母さんが
「それって恋だよ」って言ったのは完璧に覚えてる。なんだ、寄生虫じゃなかったのか。
狭い家でそれを告げられる。妹二人が僕を見たような…んですごい嫌だったような…
あなたはここで「純粋すぎる」と思うだろう。お母さんにそんなこと相談する中学生なんていないって。
でもその頃の僕は、本当にモノを知らなかったし、性に関することはとても恥ずかしいと思っていた。
教室で、友達に大きな声でま〇こと言ってと言われて、よくわからずに教室内で連呼するくらい、ものを知らなかった。周りの女子が確か引いた目で見てたような…で、その意味も全く分からなかってなかったと思う。アダルトビデオを友達たちが見てる中、僕だけ顔を真っ赤にして目を逸らしていたくらいだったし。今ではガンギマリで見るけど。
完全に恋をしていると自覚した僕は確かそれからさらになぜか奥手になったような。
一緒に居たいとも思う。だが、嫌われたらどうしよう。と思うようになった。
だから自分から会いに行くってことは全くできなかった。今までアクションを起こしてきたのは彼女だし。ペットのワン公よろしく僕はとにかく「お手!」と言われたら嫌われないようにその手を優しく握り返そう。としか考えてなかった。
そのあと断片的な記憶だが、彼女は時々僕の前を横切る。僕に気づく。手を微笑みながら振る。寄生虫が僕を殺す。それを繰り返す。でも転生しても意気地がないのは変わらない。
メールで理由を聞けば良かった。なんで僕に手を振ってくれるのか。
定期的に好感度上昇イベントのようなものが起こる。なんか僕が廊下を歩いてる時に、僕は足の裏の痛みを感じる。なにこれ?って上履きの裏側を見ると画びょうを上履き越しにめっちゃ踏んでる。いじめではない。なんか知らんけど大量に踏んでいた。それを見た友達たちが笑う。聞き覚えのある笑い声が聞こえる。彼女も笑っている。夜にメールが来る。
あの画びょう踏んでる時めっちゃ面白かった
的なメールが。
そこから人を笑わせる事…いや、好きな人を笑わせる事が好きになったんだと思う。
いいさ画びょうなんていくらでも踏んでやる、針地獄だってかまいやしない。
その代わり君の笑顔を…見せて…
♦♦♦
確か7月くらい、夏休み目前で転機が訪れる。あのバスケ部のイケメンの友達(彼女は小学校6年生だった。)、米丸君と共通の女友達の飛鳥ちゃんが僕に
Wデートを夏休みにしよう。と誘ってきた。
彼ら曰く、見てられなかったそうだ。もうじれったすぎると。とっとと行けと。だからお前。もう告白しろと。
なんで米丸君の彼女ではなく、飛鳥ちゃんが着いてくるのかを本人に聞いたら、面白そうだからって言っていた。まあ飛鳥ちゃんにも相談っていうか…「ゆっこ」が可愛くて仕方がないっていう話を何度もしていたので…
僕も納得はしていた…はず…
すごい悩んだ。僕は今の関係でも十分幸せだったから。学校終わりにサッカー部で連取している間、彼女はバスケをする。
僕はちらっと彼女の方を見る。彼女も僕を見る。でもここではお互いに手を振らない。先輩たちに冷やかされるし。
家に帰ってメールをする。なんか確か二人で怖い話を作ったりした気がする…リレー形式で作っていくやつ。
こんなんでも幸せだったのだ。顔が見えなくても。
それに正直、付き合うって何なのかよくわかっていなかった。今こんなに幸せなのに、これ以上幸せなことってあるのか?
米丸君曰く、異性が付き合うと、手をつないだり一緒にご飯を食べたりするらしい。飛鳥ちゃんが「キスはもうしたの…?」と聞くとしたり顔で「…うん…」って。
中学生にとってのキスは高校生にとってのセックスだ。大人にとっての結婚だ。
米丸君がキスしたって話だけでもう大騒ぎ。考えられない。口と口を合わせるなんて。食べるためにじゃないんだよ?
愛を交換するためだけにやるんだよ?
でもしてみたいたいと思った。うらやましいと思った。キスをじゃない。サイゼリヤとかで彼女と他愛もない話をしながら一緒に過ごしてみたくなった。
夏休みまで猶予があった。
なので告白の準備と、服を買いにいったんじゃなかったけな?んで、何故か先に服を買いに行ったんだ。
デート用の服を持っていなかったから。なので、その時の別の友達の航と小崎ってやつと一緒に服を買いに行った
んでここがまじでくそなんだよなー!
俺も服のセンスとか全くなかったからとりあえず小崎の言うとおりに買ったんだよ!
なんか英字の入った糞みたいなパーカーに、じゃらじゃらしたチェーンのなんか財布の盗難恐れすぎだろってやつ!提案されたんだよ!
んで俺、小崎に伝えたの!買う前に!
「これ俺!ひみつの嵐ちゃんで見たんだよ!このじゃらじゃらチェーン!吉本芸人がこれつけてたんだけど、めっちゃ酷評だったんだよ!吉本チェーンとか言って馬鹿にされたんだよ!!絶対やばいって!」って!
でも確か小崎の論に負けて俺は漆黒の英字プリントパーカーと盗難防止用吉本チェーンを買ったんだ!少ないお小遣いで!それで初デートに向かったんだ!うわーこれマジで糞!死ね!今でも覚えてるわ!あいつ実は吉本の回し者か!?
…すまない…取り乱してしまったようだね…
準備は万端だった。僕と彼女をつなぐ心の盗難防止チェーンも買った。
誰にも僕たちの心を奪わせやしない。
後は告白するだけだ。
でも確か僕は勇気が出なくて、メールで最初にジャブを出したことを覚えてる
「好きな人とかいるの?」
本当にドキドキした。返事が来るのが待ち遠しかった。早く断罪してくれと思った。
「うんいるよー☻」
今ではきしょめのおじさんがキャバ嬢とかに使ってるイメージのある「絵文字」だが、当時の彼女は現代のキモおじよろしくふんだんに絵文字を使っていた。でもかわいかった。
「誰なん?きになるー((笑))」
(笑)を挟むことにより「まあ気になってはいるけど、これ雑談の範疇だからね(笑)興味があるっていうか(笑)」てきなニュアンスを醸し出させてた。絶対これはやった。
本当は気になってたしょうがなかったくせに。
彼女の返答は意外なものだった。
「じゃあこの中にいるから当ててみて💛」
下川、春日、中本、飯田、橋本、僕の名前etc
の合計八人。
まさかのムシキングが始まった。
しかもトーナメント戦になっている。
しかも中には絶対王者の
下・川・君
こいつがやべーんだ
顔めっちゃいい。野球がめっちゃうまい。んで性格も異常なほどいい。だからめっちゃモテる。そしてイケメンなのにディスレクシア。ちゃんと愛される欠点もある。家に遊びに行くとおばあちゃんがごぼう茶を渡してくる。僕の予想ではあのごぼう茶のせいで下川君はディスレクシアになったと思っている。
他はモブだ。相手にならない。
だが下川君だけは違う。僕も彼女にふさわしいのはどっちかっていうと僕でなく、下川君だと思っていた。
正直絶望した。思いは通じ合っていたと思っていた。
でも
下川君だけは格が違う。
彼女の指示は「この中にいる好きな人を当ててみて」だった。
だけど僕は勇気が出ずに、最弱候補の「飯田君?」って返信をした気がする。
「ぶっぶー」
だろうな。飯田じゃ俺と下川君の相手になんねえよ。
メールが続けて届く
「じゃあヒントね」
下川、僕、あと二人モブ
ちゃんとトーナメント戦の形式にのっとり、8人いた候補者が4人なっていた。
とりあえずモブを指定する。ドキドキする。
「ぶっぶーちがうよー(笑)」的な返事だった。
「じゃあ特大ヒント上げるねー」
リストには
下川、僕。つまり…
僕VS下川
なんて魅力的な決勝戦のカードなんだ。
優勝候補の下川君とぽっと出のダークホースである僕が決戦の地で相まみえるなんて。
僕は本当に心臓が破裂しそうになってた。ここで負けたらどうしようって。でも今思えばこの時の心臓の高鳴りは、恋よりも、パチンコで10万くらいまけた後に急に当たりそうなクソ熱い演出が来た時の方が近かったような。
僕は祈るように牙狼剣(送信キー)を押す。
もしかして…僕のこと…?って。
受信を待つ。
スロットの「7・7」でリーチがかかり、真ん中のドラムが超スロー回転しているのを見つめるギャンブラーのように僕は最後の見えないリールが「7」を表示するのを待つ。
その間僕は…多分画面にかじりついていたんだろう。とにかく携帯を握り締めていたような…
通知音が鳴る。ここではまだリールが回っている。時々6とかで止まったふりをしたり、かと思えば逆回転をしたりもする。
恋に弄ばれている。
多分僕は見るのが怖かった。だけど牙狼剣は一回押しただけじゃダメなんだ。もう一回押さないといけない。
意を決して開いた。
そこには「下川」の名前と、今までの時間を無駄に浪費した虚無感と、なんで先にクッソダサい服を買ってしまったんだろうという後悔の念がともに残った。
こんなに下川君のことを憎んだのは初めてだった。でも彼は悪くない。本当に悪いのは僕をパチンコマシーンに見立てて遊んだ「ゆっこ」のはずだ。
何気なく、意思のなくなった僕は、ゆっこのメールをスクロールする。「下川」の文字から先には雪面と足跡のない虚無が続く。
…なんで…?長くない…?
僕はその雪原の先を探索することにした。もしかしたらゆっこの足跡を見逃していたのかもしれない。その先にある雪の上に書かれたメッセージを僕は見つけなければいけないのかもしれない。
雪を降りる。次第に後ろの「下川」の文字も見えなくなる。
騒々しいファンファーレが聞こえる。
止まったと思っていたレールがいまだに僕を期待させるために回り続けていた。やがて失速する。
その果てしない白銀の世界の底に、僕はついに起死回生の復活演出を見つけ出す。
三つの7はやがて形を変えて一つのメッセージに変わった。
「嘘だよ…♡」
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああなつかしいいいいいいいいいいいいいいいいいしいいいいいいいいいいいいいいいい
意気地がない臆病者をからかうように彼女は僕を翻弄し、白銀の世界にお道化を閉じ込めた後に真っ赤な三つの『7』を持って目の前に現れたんだ。
パチンコそのものじゃないか。
でも違うのは。
当たっても玉は出ない。そして…
君はお金に変えられないってことさ…
その後、僕は米丸君と飛鳥に報告する。
こうなってくるとデートが楽しみだった。小崎のチョイスもなんだか悪くないものに見えてきたぞ。
そしてデート当日。ショッピングモールに行くことになった。フードコートとかでご飯を食べて、ゲーセンに行く。ここ迄はデート巧者の米丸君が決めてくれた。
クソダサい英字プリントされた袖無しクソパーカーを着、過剰に財布の盗難を恐れたじゃらじゃらチェーンを装備した僕と、米丸君が先に待ち合わせ場所で落ち合う。
米丸君が僕の姿を見てめっちゃ笑い出だした。
「吉本チェーンじゃん…それ」
ひみつの嵐ちゃんはみんなの共通の話題だった。勿論、米丸君も見ている。
飛鳥とゆっこも到着する。案の定死ぬほど笑われる。
「メールであんなに吉本チェーンの話ししたのに…なんで付けてるの…?(笑)」
的なことを言われた。当時の僕は気の利いた返しは確かできてなかったと思う。でもなんか、どーにかして…さらなる笑いに変えたような…当時から僕は面白かったのだ。これは間違いなかった。
その後ゲーセンに行く。んで確か、ガムのUFOキャッチャーのやつをやってる時に米丸が僕の財布を盗難(冗談)しようとする。
僕が
「ほら!吉本チェーンのおかげじゃん!」みたいな事を確か言って、みんなが笑う。
吉本チェーンはクソダサいけど、でもやっぱりお笑い芸人だ。皆を、そして好きな人を笑わせてくれた。
みんながUFOキャッチャーで撃沈する中、確か僕が3つくらいキシリトールガムがいっぱい入ってるやつを取ったんだと思う。
それを皆にあげた。ゆっ子の事もそうだったけど、飛鳥と米丸の事も好きだったから。当時の僕は…輪を掛けて純粋だったんだ。
あと本当に楽しかった。家も貧乏だったし。楽しみが無かった。居場所を作ってくれた2人と生甲斐を作ってくれた1人のお陰で桜が散りきり、湿気に満ちていたであろう中学校生活が、居心地のいい場所に変わった。
その後、フードコートでなんか食べたり、した後に…まあよくありがちな…イベントが起こる
飛鳥と米丸が代わりに僕たちの皿もまとめて返しに行ってくれたんだけど…帰ってこなかった。
察する。あいつら僕達を置いてどっか行きやがった…
普通は2人きりになれて「嬉しいー!」ってなるんだろうけど…確か死ぬほどテンパっちゃった気がする。でも、今思うとゆっ子は…僕よりかは冷静だったような
そして、ここからは明確に覚えているんだけど、ゆっ子が「31アイスを食べたい」と言い2人でアイスを買いに行く。
2人で食べる。2人で公園に移動しようってなる。ゆっこが「吉本チェーンをつけてきたときは、すっごい面白かった。でも面白いほうがLUCA君(僕)に合ってるよ」と笑いながら伝えてくれる。何か返事をする余裕はなかった。
だっていつの間にか手を繋いでいたんだから。
どっちから、と言うより、お互いの距離が凄い近いので、手が触れ合った拍子に手を合わせるように繋ぎ合った感じ。その後これは正解じゃないと訂正する。だから指を絡め合う事にした。
椅子に座る。肩を寄せ合う。僕たちの世界は無色透明な物になる。お互いの体温と形だけが存在する。
「なんで、見ず知らずの僕に手を振ってきたの?」
「…」
「…」
「…なんでだと思う?」
「…分かんない」
「…好きになっちゃったから」
…
沈黙と真実と分からないふり。
空気は甘くない。でも空間を充溢するオキシトシンは甘かった。
不思議な感覚だった。体内で相変わらず寄生虫が暴れ回っているのにも関わらず、僕のバイタルは安定していた。2人は寄生虫に栄養を与えあうように抱きしめ合う。でも、その時にキスはできなかった。人がいたってこともあるし、やっぱり中学生の初デートでキスは、ハードルが高すぎた。
その後僕達は帰路に着く。一緒にいたかったので、ゆっこの家まで送ろうとする。でも断られる。僕は残念がる。
◆◆◆
最後に2つ。後に判明した真実を記す。
米丸君と飛鳥は僕達を置いて走り去って行ったのだが、二人の意思で逃げたわけじゃない。「ゆっこ」のお願いだったらしい。どこまでも僕は彼女の手のひらの上だったわけだ。
もう一つ。彼女は、僕と一緒に帰るのが嫌だったわけじゃない。自分の貧乏な家の外観を見られたくなかったからだ。
◆◆◆
この話は実話だ。30近い半クソジジイがPha賞を取るためだけに掘り起こした記憶の残渣。と言う割には容易につなぎ合わすことができたし、鮮明に思い出すことができた。
今、ゆっこも飛鳥も米丸君も何してるか知らない。皆、僕の事なんて覚えていないかもしれない。
僕は両手で握っていたスマートフォンを机に置き、パンツを履く。
このエッセイの中で唯一嘘があるとすれば、僕はふつーに最初から最後までパンツを履いていたってことくらいだ。
僕は、彼女ほど嘘が上手じゃないし。
初恋の女の子との思い出にパンツ脱いで耽ってみた。 LucaVerce @LucaVerce
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます