第2話 ただの魔女に非ず

森林の上を縮こまって飛行する。

軍も流石に田舎の影の薄い魔女を

血眼になって探したりはしないだろう

森の奥深くへとやってきた

地に足を着けた

いかにも魔女らしい服を脱ぎ

手持ちの軍服に着替える

少し大きい、でも仕方ない

雨が降り出した止めば飛び立つ

渡り鳥みたいだ

魔女とは元来そういう物だ

私もそうだ

次は帰ってこれるのだろうか

南に下り沿岸を目指す

山なりに進むと平原が見えてきた

川に沿って家々が見えてくる

煙たい街が見える

何かが空を飛んでいる

あれは本で読んだ飛行船だろう

雲みたいで綺麗だと思った

箒が二本飛んでくる

顔を少し隠す

無線がつながった

"332ですか?"

幼い声だった

うなずくと

''じゃあ行きましょう''と

言われたので許可を取る仕草を見せ

なんだか分からないがついて行く

飛行船から曳光弾が飛んでいる

初めて気付いた…敵機だ

あの子達はあれを落としにいくのだ

そして援護してほしいと言うのだ

戦いたくないと思った

敵の護衛に同族だっている

"同盟万歳"というと

急降下姿勢に入る

許して欲しい

そんなことを言われても...だ

私はただの魔女ではない

普通の魔女は軍隊に行って敵と戦う

私は褒められた者ではない

この国を裏切ることを決めたのだ

この国はもう魔女の国じゃないから

たった一枚の紙切れを信じた

そして私は飛び出したのだ

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憂鬱の魔女 さなぎふとん @sanagiinofuton

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