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@thera

今までの年末年始

「おばあちゃん、大掃除、手伝いに来たよ!」


その少年、マサトは元気よく老婆に声をかける


「ありがとうねえ。マサトちゃん。おうちのほうも大変なんじゃないかい?」


マサト「ううん!もう家の方は先週お手伝いしたから!」


「さすがだねえ。あ、これ、お礼も兼ねて。ちょっと早いけどお年玉だよ」


マサト「えっへっへー!!これが狙いだったんだ!」


「あらあら。正直でいいわね。何を買うの?最近のゲームかい?」


マサト「世界でいっちばん欲しいもの!1年間、不幸のない年末年始!」


「ふふふ、そうかい。それがお金で買えるなら安いもんじゃな。それならばあちゃんも奮発しないとね。よし!大掃除で見つかった隠し財産あったら持っていきな!この年になるとあっちゃこっちゃにお金を封筒に入れてはなくすからねえ」


マサト「言ったな、ばあちゃん!約束だよ」


ーーー


マサト「けほっけほ!」


「おやおや、マサトちゃん。ここはほこりが多いよ。無理せんでええからね」


マサト「やる!いっぱいお年玉もらったもん!欲しいものあるんだもん!」


「元気だねえ。ほれ、せめてマスクしんしゃい」


ーーー

マサト「つめたっ!!」


「あらあら、マサトちゃん。ばあちゃんちは古いからね。お湯は少し時間たたないと出ないんだよ。よし、あったかくなったね。お風呂掃除までありがとうねえ」


ーーー

マサト「終わったー!!」


「ご苦労さん。隠し財産いっぱい見つかったねえ」


マサト「おばあちゃん、お金はちゃんとおサイフに入れておかなきゃだめだよ?」


「ははは、気をつけるさね」


マサト「じゃあまたね、おばあちゃん、よいお年を!」


「ん、次は卓造じいさんのとこかい?」


マサト「よく知ってるね!うん、近所中からお年玉もらってやるんだ!!」


「まったく、その年でしっかりしてるね。何が欲しいんだか」


ーーー


数時間後


キンジ「ばあさん」


「おや、キンジちゃんかい」


キンジ「ちゃんは辞めろ。もうすぐ25歳だ。それより、マサトになにさせてる」


「なにって、大掃除手伝ってもらってお年玉あげただけだよ?」


キンジ「だけだよ、じゃねえよ。近所中で同じことやってんだぞアイツ。ガキに近所ごとグルでなにさせてんだよ!」


「本人の意思さね」


キンジ「俺はマサトの兄であり、死んだ親父やおふくろの代わりの、マサトの保護者だ。俺を通せ」


「通したら許可せんじゃろ?」


キンジ「当たり前だろ!」


「じゃあ、【欲しいもの】でも用意してあげるんじゃね」


キンジ「………ッ!!」


「マサトちゃんの欲しいものがなんなのか、近所中みんな知ってるよ。知ってるからこそ黙って働かせてあげてんじゃよ」


キンジ「余計な……お世話だ」



「マサトちゃんはね、




ーー来年も、再来年も、そのまた翌年も。


【1年間、≪不幸≫のない年末年始】が欲しいんじゃよ。


キンジちゃん、ーーあんたの治療費なら、私ら近所軍団は喜んで払うさね。マサトちゃんのお手伝いは、それを出させてくれる大義名分なんじゃよ」


「アンタを、病なんかで死なせやしないよ。近所まるごとグルになってでもね」


キンジ「っくそ!!」


「かえりんしゃい。そして、


来年も、再来年も、その翌年も、あんたらふたりに、近所中からこう言わせてくれ。」



「【明けましておめでとう】とな」


ーー完ーー

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