年末、最後の溝

にこにこ先生

年末、最後の溝

年末だ。


カレンダーはもう仕事を終えている。残っているのは、薄くなった時間だけだ。年の瀬も押し迫った十二月三十日。部屋には、レコードの最後の溝に針が触れるときのような、あの頼りない感触がある。キーボードを叩く音はやけに穏やかで、外ではたぶん誰かが、年越しの準備をしている。


カクヨムを書きたかった。そう思った。正確に言えば、「書きたいと思っている自分が、まだここにいるかどうか」を確認したかった。


情けないわけじゃない。忙しかったのかもしれないし、性格の問題かもしれない。季節のせいとも言えるし、もしかしたら、ただ椅子の高さが合っていなかっただけなのかもしれない。原因というものは、たいてい後から都合よく名前を与えられる。


珍しく、個人的な話をしてみようと思う。


もしかすると、すでに誰かには気づかれているかもしれないが、僕はかなりの孤独で、しかも甘えっこだ。昔から、満たされない大きな空洞を余儀なくされた人間だ。


逆説的だけれど、そのせいで人には優しく、拒絶もしない。結果として、人に利用されたり、誰にも言えない苦悩を抱え込んだりすることが多い。だからその因果を隠すように、僕は自分を明るさで粉飾する。楽しいことと面白いことに包まれれば、だいたいのことはやり過ごせると知っている。


昨日、高校時代の同窓生とWeb飲み会があった。盛り上がって楽しかったが、深刻な状況や想像が難しい人生の分岐を経験している人もいた。それでもぼくはなんとも思わない。不運でも事故でもない。その人のせいでもない。優しい言葉(言語化はしていないけど)をかけることしかしない。


宗教にハマっているやつもいた。彼は30年以上、ケーキを作るところでアルバイトをしているという。そして「笑顔」「幸せ」という言葉を連呼していた。流石に飲み会の空気が冷たくなってきたので、尊重しながらも少し弄って、うやむやに彼のターンを終わらせた。


さっき西友に行って色々買ってきたよ。安かったからマグロとか真鯛とか買ったよ。お刺身で食べるよ。それから、たぶんうまく剥がせないおにぎりと、おでんパック買ったよ。お蕎麦も買った。ぼくの大好きなみかんゼリーも買った。


でもみかんは好きじゃない。みかんって剥くのが難しいから。昔からできない。もっというと出来ないことが多すぎて困る。お仕事とか好きなことはすごい精緻にできるのにね。このバランスの悪さは何なんだろう。


来年は海外でお仕事をしようと思っているよ。がんばるね。

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