夢の中で出会う君へ

桜庭 結愛

プロローグ——同じ夢

 私は毎晩同じ夢を見る。

 私が幸せそうに学校に行っている夢――夢の中で私たちは恋人同士のようだった。

 今日も今日とて同じ夢を見る。

 いつからだろうか――。この夢を見てから幸せだと思うことが増えた。

 視界が徐々に暗くなる。それと同時に一筋の明かりが差し込んできた。


「……もう朝?」

 早い、早すぎる。こんなにも夜が短いだなんて知らなかった。

「はぁ、行くか」

 大きなため息をこぼして、布団から起き上がる。夢の中とは違って、毎日学校に行くのが憂鬱で仕方なかった。


 身支度を整えて下に降りると、すでに用意されていた朝食が食卓に並んでいる。一人静かにご飯を食べているとスマホの画面が光った。

「え!もうこんな時間?」

 私は急いでお皿を下げてカバンを掴むと、走って玄関に向かう。

「行ってきまーす」

 誰もいない部屋に向けて大きく声を出す。鍵を閉めることに手こずってしまい焦る気持ちが大きくなるが、息を整えて時間を確認する。

 ――まだ間に合う。

 そう確信すると、私は駅に向けて歩き出した。

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夢の中で出会う君へ 桜庭 結愛 @Yua_Sakuraba

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