第3話 運が悪い俺と、めちゃくちゃ不運な少女



2021年9月1日、雷雨。


午前9時42分。


スーパーで私は包丁と圧縮ビスケットなどを買った。

その一方で、私は新学期の入学式で唯一欠席した生徒となっていた。


「入学初日から欠席か!神炎という野郎、バカなのか!」


クラス担任の山田猛虎がぶつぶつ文句を言っていた。

彼はもう私の母親に電話をかけ始めている。


もちろん、私は学校に戻るつもりはない。


こんな光景は地球だけでなく、異世界の至る場所でも起きていて、数千人の者たちが私と同じ行動を取っていたのだ。


午前10時38分。


ラッキーストア。


「おい、小僧。どうしてこんなにたくさんの食料を買ってんだ?まさかお前の頭の中にもカウントダウンが表示されてるんじゃないだろうな?」


どこか悪びれた男が私に声をかけてきた。


「何のカウントダウンだ?俺はただ食いしん坊なだけだ」


私は品を買い終えると、勝手に店を出て行った。


男は私の様子をじっと見て、まるでこの顔を覚えておこうとしたかのようだ。彼は私の肩をポンと叩いた後、勝手に立ち去った。


……


76200円では本当に多くのものは買えない。だが私はそれでもリュックをいっぱいに詰め込んだ。


……


ただ私が知らないのは、自分の状況がまだまだ幸せな方だということだ。


私のように事前に選ばれたケースは「予約枠」と呼ばれている。


悪ノリな神様は、反応する暇も与えずに、ランダムで人々をゲームに引きずり込んでしまうことさえあるのだ。


夜23時47分。


カウントダウンはあとわずか13分ほどになっていた。


……


その頃、初晴家。


既に眠りについていた少女の頭の中に、突然カウントダウンが現れた。だがその通知内容は私のとはまったく違っていた。


「おい、ラッキーな人間!お前を臨時で選び、デスゲームに参加させてやる!もう一度命を与えてやるぞ!」


パジャマを着た少女はぼんやりと起き上がり、頭の中にカウントダウンが表示されていることに気づいた。


「00:11:45……このカウントダウンは一体どういう意味なの?」


神様の投影は少女の問いに答えることもなく、そのまま消えてしまった。


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火の強者たる俺が、仕方なくデスゲームに参加させられるなんて! 神炎悠真 @LYF1145

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