Mission 006 その手を離さないために。


 ――ボクたちは、情報屋。


 でも、本当は只の子供だ。誰かを救いたくて、誰かに救われたくて、ここにいる。



 この学園には、表と裏がある。表は、生徒たちが笑い合う日常。裏は、見えない問題を処理する〝情報屋稼業〟


 いじめ、暴力、隠された不正。それらを密かに調査し、証拠を集め、生徒会に届ける。


 それが、ボクたちの仕事。


 でも、ボクたちは〝殺さない〟


 どんなに訓練されていても、どんなに強くても、命を奪うことは絶対にしない。


 だから、ボクたちの〝処理〟とは、相手の自由を奪い、真実を突きつけること。


 それが、ボクたちのルール。


 千歳ちとせは、まだその意味を知らない。でも、きっとわかってくれる。そう信じている。


 美路みちの案内で、ボクたちは知新館という一階に食堂を設けた場所に向かう。そこの三階には、生徒会の面々が集っていた。明るく、優しく、そして強い人たち。


 その中心にいたのが――


結城ゆうきりんだよ。よろしく、お二人さん!」


 長い髪に、鋭い眼差し。その声は、まっすぐで、何処か眩しかった。 彼女の瞳は……そう、何処か千歳に似ていた。まっすぐで、迷いがなくて、でも、何処か脆さを隠しているような光……


 ――この人たちとなら、やり直せるかもしれない。そう思った。


 ここでなら、きっと――〝人間として生きる〟ことが、できる気がした。


 でも同時に、胸の奥に小さな棘が刺さる。


〝あの子の中にある何かが、目を覚ましたら――〟


 その時、ボクはどうすればいい? 止められる? 守れる? それとも――


 わからない。でも、ボクは決めている。何があっても、君の手を離さない。絶対に。

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地より湧きたるエージェント ―ReBoot― 大創 淳 @jun-0824

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