ふるう
心の冷たき時に、ふと思い出す。
私の命が、また別の、過去の命の上にあると。
冷えたままに、ただ冷えたままに、雪の上を歩くよう、優しく受け止められて――。
引き摺られることなく、私は二本の足でそこに立つ。偶に俯いては、その雪原に桜の花弁を見て私は進む。
前か後ろか、右か左か。わからぬままに進みゆく。
芯のまだ冷えたままに、凍えた体躯をふるわせて、背後の影を振り払う。
足跡は風に消え、私もとうに雪と化す時、その上を歩くものの心をふるわさんことを。
掌編(?)散文(?)詩(?)集 わたしだ @I_am_me
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