第5話 美味しい朝ごはんを作るぞ

 超早朝、まだ朝日も出ていない真っ暗な時間帯だ。いつもお世話になっている居候の和也のために、たまには朝ごはんを用意してあげようと思う。

 最近霊力が上がったのか意外と自由に包丁やまな板なんかも動かせるようになってきた。多分、傍目には勝手に動き回る、包丁やまな板を見たら大騒ぎになるかもだけど、和也は最近見慣れているのか、まったく驚く様子もない。それどころか、手に届かないところにあるものは取ってくれと言う始末。少し怠けすぎではないのか。言ってやりたいが、この間の死神の一件もあるし、あまり強く言えない。

 少しばかり音が大きかったのか、しばらくして、和也が起き出してきた。眠そうな目を擦りつつ台所の戸を開けて顔だけにゅ〜と出した。

「こんな朝っぱらから何してる」

「和也の朝ごはん」

「作れるのか?」

 あまり、信用はしていないらしい。そりゃそーだ。今まで料理なんてしたことないし、だいたい私はご飯を食べない、というか食べたくても食べられない。幽霊だから。そんなところで幽霊を実感させられて、少し残念。気持ち的には生きている人間だと普段は思ているから。

 魚は電子レンジのオーブン機能を使うのが便利だ。クッキングペーパーを敷き、鮭の切り身を並べる。バターをのせ、パン粉・パセリ粉・塩胡椒・にんにくを混ぜたものを満遍なくまぶす。待つこと10分少々。立派な鮭の香草焼きができた。

 なかなかやればできる子なのでした。匂いもいいし最高。見た目もいいし素敵。味は·····わからない。多分大丈夫。

 次は煮物を作る。お鍋に豚肉・玉ねぎ・にんじん・絹さや・調味料を入れ、あとは電子レンジで20分。沸騰してきた。美味しそうな匂いが出てくると、和也が覗きにきた。

「いい匂いだね。まだ?」

「もうすぐだから、待ってて」

 ここからが幽霊の腕の見せ所。電子レンジの中の鍋をかき混ぜる。電子レンジをかけながらそんなことができるのは幽霊ならではではないか。流石の和也も目を丸くしている。

「うわっ、すげ〜。·····そりゃ反則だぁ〜」

「どうよ!」

 つい態度に出てしまう。得意満面で鼻歌が出そうだった。料理が好きになりそう。

 なかなか効率のいい調理法で、電子レンジでありながら、ガスコンロのような手軽さもある。和也は感動して手を叩いて喜んでいる。

「幽霊と電子レンジって、もしかして最強タッグじゃね!」

「でしょ!仕上げに·····落し蓋ぁ!」

 やっぱり、最後は落し蓋よね。細工は流々仕上げをごろうじろ。

「あっ、それ。アルミホイルはダメだって!」

 和也はなぜか慌てているが、構わず落し蓋を放り込んだ。これで美味しさ100%アップ。

 バリバリバリバリバリッピーーーッ。バアアンッ!

 黒煙が部屋に充満し、突然電子レンジの蓋が開いて鍋が中身をぶちまけながら吹っ飛んだ。

「ギャーッ!」

 和也の顔から血の気が引いて、青白いお化けのような形相をしている。次いで私を血走った目で睨みつけている。

「なんでっ!!」

 意味がわからない。なぜ失敗した。意外に電子レンジは繊細なのか。和也のため息が耳元で漏れた。

「幽霊と電子レンジ、相性最悪だったわ」

 結局、今朝の朝食も和也が自分で作った。

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マシロの成仏未遂幽霊ライフ 朝霧 悠 @Kochi1040kakuyomu

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