どこか童話のような語り口で始まるのに、読み進めるうちに少しずつ空気が変わっていくのが印象的でした。「サンタ」という誰もが知っている存在を借りながら、描かれている行動はごく現実的で、そのズレが不思議な緊張感を生んでいます。侵入の場面は淡々としていて、どこかユーモラスですらあるのに、ふとした瞬間に「これは笑っていい話なのだろうか」と立ち止まらされます。その違和感を説明しすぎず、読者に委ねているところが、この作品の心地よさでもあり、怖さでもあるように感じました。短い中に、軽快さと不穏さが同居していて、不思議な余韻が残り続ける掌編です。
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