星の残響さえ聞こえない

　数千年前、繁栄を極めた超技術文明が滅んだ。
　自らが貪った「過去に沈められた可能性たち」の遡行叛逆によって。

　終わった世界の残骸の中から、人々はかつての技術を魔法として継承し、緑に覆われた世界で、「歪な可能性」から生まれた魔物の脅威の中で生き延びている。

　森で狩りに身を投じ、己の力を証明しようとする若者・ジーグ。
　誇りとともに魔法を失い、戦場から逃れたエルフの女・レナ。
　二人を導くのは、数多の死を見届け、それでも歩みを止めなかったオークの老戦士・ゴルドだった。

　喪失、欠落、後悔。
　それぞれが抱えた傷は共鳴し、やがて旅へと変わる。


　――これは、英雄譚ではない。
　生き残ってしまった者たちが、それでもなお、次の一歩を選択する、足掻き藻掻く物語である。



※短期的消費…続きを読む