第11話 冒険者みたいな仕事は無い

結局、なおとその後も動物園を回った。


なおは目を輝かせながら『これに勝てる?』『これなら』と聞いてきた。


だけど、この世界は随分と平和なのを感じた。


剣一本あったら瞬殺。


素手でも手古摺りはする物の『勝てない』と思う動物は居なかった。


強そうな象やサイでもまず負ける事は無い。


いや、俺でなくても冒険者ならまずどうにか出来てしまう。


そういうレベルの物しか居ない。


「なお、象より強そうな動物っていないの?」


「う~ん、地上には居ないかな? 海なら結構いるけど」


「それじゃ海に行かなければ、安心して暮らせる! そういう事だね」


「いや、日本だと一番危ない生物でもヒグマ位かな? それに、熊の被害も滅多に会わないよ! 動物園以外じゃそんな危なそうな生き物になんて遭遇しなかったでしょう?」


「確かにそうだね……それじゃこの世界は随分安全なんだね」


「う~ん、少なくとも都心部ならそうかな?」


「そうか……それじゃ動物や魔物を狩るような仕事は無さそうだね」


「猟師とかハンターとかならあるけど、余り稼げなさそうだよ?」


「そうか……それじゃ冒険者みたいな仕事は無さそうだね」


「うん、それは無いよ」


冒険者みたいな仕事は無いのか。


「レオン、お金の事なら気にしなくていいよ? 私結構持っているし、レオン一人くらい養ってあげるから」


「いや、男としてそれは情けないから極力したくない」


「そう? なら、今お世話になっている仕事場で偶に働く位で良いんじゃない?」


「だけど、もう少し稼ぎたいんだけど」


「レオンが稼いだ10万円って1日で稼ぐ金額としちゃ、凄い金額だよ? それこそ5日間働くだけで普通の人の一か月の収入位あるよ」


「そう、なんだ……あれはあれで良いんだけど……」


「レオン、もしかして何かやりたい事があるの? あるのなら応援するよ!」


「特にしたい事は今は無いけど、折角磨いた腕が鈍るのがちょっとね」


「う~ん。剣とかじゃ稼ぐのは難しいけど素手の格闘なら稼ぐ方法はあるよ」


「素手?」


「そう、素手で戦うなら、ボクシングとかのプロになれば結構稼げると思う」


素手か……自分の力を試してみたい。


「ボクシングを見てみたい。見られるような場所知らない」


「それなら、まだ時間があるから、ボクシングジムでも見に行こうか?」


「いいの?」


「勿論」


稼げるなら、そういう仕事につくのもありだな。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

[ カクヨムコン11参加作品】スクラップ.ド.プリンス&プリンセス 壊れかけの二人の小夜曲 石のやっさん @isinoyassan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画