概要
正義で壊した、救いの居場所。
野良猫だらけの団地で育った私は、命が飢えと争いで消えていく光景を知った。救いに来た動物愛護団体とその代表を、私は「命を見捨てない人」として崇拝し、同じ団体に就職する。だが現場を離れ、収容数や医療費、譲渡率といった数字を扱う立場になるほど、救えるはずの命が「枠」の外へ落ちていく現実が見えてくる。代表の慎重さを「見捨て」と断じた私は動画投稿サイトで告発し、世論は単純化し、団体は炎上の末に解散する。救いの場が消えたあと、通帳に残る金だけが、私の正しさが壊したものを静かに突きつける。