BOZU & SEX

真白透夜@山羊座文学

そういうバイト

 妻子持ちの坊主と寝た理由は坊主いわく、俺が空回り気味で可哀想だったから的なやつだった。もっと肩の力を抜いていいのに、と言う。


 合コンの頭数バイトをしていた。うまく同席者のアシストをし、うるさくない程度に盛り上げる。飲食代がタダになる程度のバイト。


 あの坊さんとの出会いも合コンで、彼は男性側の幹事だった。後輩に彼女を作らせたいらしく、何回か面子を変えて合コンは行われた。坊主は気前がよく、毎回男性側が全額払ってくれた。


 私のバイト感覚に彼は気づいて、メッセージを寄越してきた。相手を求めない同士、改めておしゃべりしませんか? と。金が無かった。行けば食費は浮く。それだけ。


 彼のおしゃべりは上手かった。説法が仕事なんだから上手いのはあたりまえかーと、パスタをくるくる巻きながら聴く。


 そっからどのようにホテルに行ったかなんて、別にそれは一般人と変わらない。なんとなく、そんな雰囲気になったからだ。もちろん、アレがどうであるかも、坊主だからどうということもない。


「銀のスプーンをくわえて生まれてきたはずだった」


 ブッダは、好かれたら結婚しろと言ってるし、殺人鬼も手当てしている。私も救ってくれそうだった。


「あなたは、大丈夫だよ」


 と、彼は言うが、天井から見れば横たわる裸の二人。


 僕にとって、セックスは自傷行為に過ぎない。繰り返してうっかり死ねることを期待している。坊さんが看取ってくれるなら、成仏も早いかもしれない。



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