【悲報】転校したら部活選び失敗した件

三温糖

【悲報】転校したら部活選び失敗した件

「ーーーーーーーーーーーーーー…です。よろしくお願いします…。」

パチパチと拍手が数秒教室内に響く。

「はーい月白さんありがとうねぇ〜…てことで、お前ら仲良くするんだぞー」

「はーい」とか、「よろしくー!」とか、絶対興味の無さそうな声で返答していくクラスメイト。どうせ転校しても変わらないんだろうと、席に戻り思う。

私の名前は月白光。今日5月12日、ここ城ヶ崎高校に転校してきた。理由は一般的な親の都合。余談も言えば前住んでいたアパートがオンボロ&大家さんの人相最悪というのも軽くある。

別に私は普通で良い。それで良い。その状態が、1番居心地がいいから。

とりあえず周りの子達に軽く会釈しておく。みんな返してくれた…良かった…

後ろの子にも挨拶しようと振り向いた瞬間、そこには誰も居なかった。…のではなく、目線を少し下にすると机に突っ伏している子がいた。

私はほぼ虫の声で「よろしく…」と言っておく。返事はない。

早速…心配だ…

〜〜〜

授業が終わり、休み時間になる。生徒たちはそれぞれのグループ、行き先へとバラバラに動いていく。中の数人、思ったよりも多くの人が自分の席の周りに群がる。

「私桃野愛〜!あっちゃんって呼んで!よろしく〜!!」

いかにもな陽キャオーラが,まるで私の肌をジリジリと焼く。眩しいぜ…

「よろ…しく…ぅ」

そんな返事しかできない。愚かさを恥じる…

「好きな食べ物とかある〜⁉︎」

「ここの購買のカレーパンガチ美味いんよ!」

浅い質問を軽く受け流す中、桃野愛こと、あ、あっちゃん、が一言口を開く。

「部活、もう決めた?」

「あ…部…活…。」

そうだ。部活。全く頭になかった。そもそも何部があるのかすら…。校内紹介の紙は貰ったことがあるが、目を通していない。しくった…。

「…あぁ…その、まだ決めてないんだ、よ、ね…ぇ…?」

「え、マジ〜?ヤバいと思うよそれは⁉︎」

「軽く自分の中で決めときな〜?仮入部とか、体験とか。もちろんあるしぃ〜」

「うん…」

Oh,My,God。誰か助けてくれッ!!!

「えと〜…その、何部があるか、教えてもらうことってー…」

「「「まだその段階⁉︎」」」

そこに居るほとんどがツッコむ。まぁ,当たり前のことだろう…

「あ、あたしは吹部だけど〜…でも、あそこはやめといた方がいいよ。楽だと思って入ったら肺活量鍛えまーすとか言って陸部かってくらいグラウンド走らされたんだから!」

「おぉ、マジか。」

それは避けたい。運動は苦手だからだ。

「あぁ〜…じゃあ、あれは?笑」

「『なんでも部』」

「いっやあそこは〜…笑」

「マズイかなー笑」

「マズイって、あんた、分かってんでしょ笑」

「…?なんでも、部?」

「ん〜?あぁ、そうそう。聞いてない?って、まだ転校初日か。この学校、5人の「王」が居るんよ」

「…おう?」

「そ。王。」

「喧嘩王、カリスマ王、頭脳王、運動王、あとはー…」

「“黒”に“王”で、こくおう。」

「ああ。そうそう。黒王。」

ずいぶん厨二臭い都市伝説だなー…まぁ、普通の私には関係ないだろう。

「…その、なんでも、部?って、何するの?」

「いや、それが知らないんよ」

「え?」

「そそ。全体的に闇包まれててさー?ほんと不思議ー」

「ふぅん…」

マズイ。気になってきてしまった。こういう好奇心やめて欲しい…自分の嫌いな部分だ。

「…じゃさ」

「「?」」

「私、入部して、何してるか探ってみるわ」

「「え!?」」

「普通に気になるし、なんでもって…なんか楽そうだし?笑…仮入部っていうか、もう正式の入部するわ!何があっても、自己責任っす」

「…え、」

「「「ええええええぇぇぇぇぇ!?!?!?」」」

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【悲報】転校したら部活選び失敗した件 三温糖 @motohika0819

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