そして男たちの物語(ハヤトSide)
「出来る事があるなら、私も行きたいです」
ナノハが竜討伐への意欲を見せたとき、心の中で盛大に舌打ちした。召喚の見学のお誘い、国王の狙いはこれだったんだよな。たぬきめ!
ヒロもナノハも、さすが召喚陣を通っただけあって、魔力も多いし筋も良かった。性格を鑑みると、ナノハには攻撃魔法は使わせたくないし、そもそも前に出したくない。ヒロはさすがに驚きの強さだった。
魔力の影響以外に問題のなかった竜を討伐するのは、気が乗らないところもあったが、放置もできない。ヒロとナノハの活躍は目を瞠るものがあり、あっけなく終わった。
国に不安の影を落としていた竜がいなくなり、その周知も合わせてオレ達には褒賞が与えられた。団長は奥方にと宝石を貰っていた。ヒロはまだ世界がわからないから保留となったが、とりあえずということで屋敷が与えられた。
そしてオレは温泉もある王領の一部をもらった。そこに住むのも悪くない観光地だ。100年以上生きて、こんなに未来への希望を感じられるのは初めてだ。
褒賞の授与は国民が見れるものではないから、代わりと言ってはなんだが、俺たちの結婚式が急ピッチで進められた。
結婚式も近づいたある日、ヒロを酒場に連れ出した。と言っても個室が取れるような小奇麗な店だが。
エールを飲みながら聞く。
「ヒロが召喚された日、応接室で話してたことは嘘が混じってたよな?」
「なぜそう思うんすか?」
当時は念の為、鑑定をかけながら話していた。ナノハの話は全てが嘘ではないようだったが何かが引っかかった。
「カンかな?」
「あとは、ナノハを時々見る目かな」
「あ……」
苦虫を噛み潰すような顔をしたヒロが、渋々語り始めた。
「大学のクラスメイトだというのは本当っす。ただ、高校もクラスメイトでオレ達は友達だった。杉浦……いや今は鷹柳か」
「ああ……」
頷いて続きを促す。
「七波さんには2つ下の妹がいて、その子と付き合っていたんだ。」
「恋人だったのかと聞かれたとき、あぁ本当に何も、オレのことも妹のことも覚えてないんだなと思った……」
「姉もオレも死んでしまって……彼女のことを思うとやりきれない」
ぽつりぽつりと語ったことは、殊の外重かった。
「すまない。今はまだもとの場所と時間にしか帰せないがいずれ!」
泣きそうな顔をしながらヒロは首を横に振った。
「その頃にはココでの知り合いが増えちまうんすよね」
ヒロは単純そうに見えて思慮深い。胸が痛かった。
「七波さんはどういう状況で召喚したんすか?」
ここで嘘をつくわけにもいかない。
「実は崖から飛び降りたところをだな……」
「そうっすか。ニュースで聞いたってのは嘘です。事件性がないものとして処理されちゃったから。遺書のことは彼女とおばさんに聞きました」
「そうか。話してくれてありがとうな」
「……ここでみる七波さんが明るくて良かったっす。幸せにしてやってください」
「それはもう、もちろんだ」
「オレは兄のようなポジションなんで」
そこは
結婚式は、王城で行った。ドレスを着たナノハは美しくて可愛くて隠したくなったが、気を強く持った俺を褒めたい。それに見世物感は拭えないが、ナノハが俺のものだと広く知らしめられたのは僥倖だった。
俺は幸せ者だし、ナノハを愛している。
魔法使いに捕獲された私は、溺愛されて幸せです 風花 @rurippi
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