カレンダーの穴 一人の探偵が、消えた恋人の残した謎を追う短歌でミステリー

ソコニ

第1話

コーヒーの カップの底の 冷えきりが 君の不在 を初めて告げる


カレンダー ひと月先に 穴あけて 何かの記念日 隠していたこと


消えたのは 君のスマホと 一枚の 真夏の日の 集合写真


図書館で 君が借りたる 本の題 「毒薬の効能」 などではなかった


鏡にも 君の指紋は 残るのに この部屋だけが 掃除されていた





「知らない」と 言葉を継いだ 友の目に 微かに宿る 過去の秘密


雨の夜 踏切に立つ 人影が 君に見えても 振り返らない


残されし 一枚のメモ 暗号は 二人の愛の 合言葉だった


白い壁 はがれた壁紙 その下に 赤い絵の具の ような指跡


三日間の 睡眠削り 導きし 答えを知れば もう戻れない


警察は 「事件性なし」と 言うけれど 私にはある 隠れた殺意


「犯人は あなたでしょう」と 言う場面 セリフが噛んだ 少し残念





指跡の 赤い絵の具は 彼女自身 幼き日に 描いた自画像


恋人は 誰かに追われ 消えたのでなく 自分自身 を消したかったこと


穴あけて 待ちわびたのは 「自由」という 名もなき日付 の静かな船出


探し物は 君でなかった わたしの 過剰な愛 の重さであった


写真には 君の隣に 「過去の君」 二人消え去り 謎は終わる





届かない ラストメッセージ 「探さないで」 既読にはもう ならないだろう


この部屋に 戻らぬ君の 影よりも これから一人 の私が怖い


窓開けて 冬の匂いを 吸い込んだ これが私の 新しい日々







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