「進展前夜」 殺人姫:枷取菜緒は幸せに たい
sterben
第1話 進展のきっかけ
四谷家のリビング…木実家で夕食を食べ終え、二人はまったりとテレビを見ていた。
木実家と四谷家は隣同士であり、不思議な扉で簡単に行き来できる。
そこに、右腕の無い少女が渋い顔をしてやってきた。
少女の名前は、枷取 菜緒…木実家に居候している女の子だ。
「…二人共、イチャイチャ禁止。」
「えっ!?なんのこと!?」
「イチャイチャなんて、してないけど?」
菜緒は、ソファに肩を寄せて座っている二人を見ながら、怒っている
腕を組もうとしたが、右腕がない為組めなかった。
少年の方は、木実 悠…菜緒の想い人の弟で、弟子。
少女の方は、四谷 千賀…菜緒の幼馴染であり数少ない同年代の友達で、弟子。
実は…菜緒の祖父の従兄弟の娘。
「ん?……今、してるでしょ?」
菜緒は、食卓の椅子を持って来て、腰掛ける
二人は顔を見合わせ、ハッとして距離を空ける
「これは違っ!?」
「たまたまだから!!」
二人に、菜緒はむすっとした顔を向けている
『無意識で、イチャイチャし始めてる…』
「この前も、キスしてたし。」
「「なっ!?」」
菜緒は見ていた…二人が廊下でイチャつく光景を。
なんなら、廊下以外でも見かけているし、菜緒の分体…黒猫のナーちゃんも見て、菜緒に報告している。
「二人の動き見て、鈴ちゃんも…」
鈴は二人の真似をして、菜緒とイチャつこうとしていた。ハグしてきたり、恋人繋ぎしたり。
嫌である訳が無いし、嬉しいが…。
「私だって、したいの…我慢してるのに」
菜緒にもちゃんと恋愛感情もあるし、性欲も強い。
だが、鈴との関係が壊れるのが怖くて、菜緒は勇気を出せなかった。
「すればいいんじゃないの?」
「すればいいのに…」
『『両片思いなんだから、さっさとくっつけばいいのに…。』』
二人は、ド直球に言った。
「ん…二人には言ったよね?寿命のこと。」
菜緒は現在13歳であり、 16歳まで生きられないと主治医に言われている。
…だが、実際はもっと早くに死ぬだろう。
二人はテレビの電源を切り、菜緒としっかり向き合う。
真剣な話に、雑音は邪魔だ。
「いっそ不老不死になるとか?」
「寿命伸ばす方法、見つければいいんじゃないの?」
「ん、もうなってる…。」
菜緒の肉体は、既に不老不死だ。
10歳の頃には肉体の状態が固定、不老期になっており…不死属性で、頭を潰しても、心臓を抉り出しても死なない。
問題があるのは魂の方。魂の摩耗、劣化だ。
器と中身が合っていない…小さな箱の中に無理矢理中身を詰めている状態。
「ヴァンパイアになる…は、無理だし意味無いか
…」
「アニキなら、なんか知ってんじゃないの?」
アニキとは、悠の実際の兄では無く…悠をゲーム沼に引き摺り込んだ兄貴分。
そして…菜緒の右腕を斬り落とした、菜緒の師匠。
『何か知ってたら師匠、私の右腕斬り落としてないと思うけど……』
…二人のイチャイチャを怒りに来たのに、何故か菜緒の延命の話になっている。
「まずは…戦うのをやめる、もしくはもっと減らすだよなぁ。他には…」
腕を組みうーんと、唸る
「じゃあ、あのおじさん捕まえて情報、吐かせよっか…その辺の木にでも登ってるんでしょ?」
腕を頭の後ろで組み、ソファに体を預ける
「ん?師匠…今、私に接近禁止だし、行方不明。」
菜緒の師匠は、理由があったとはいえ…菜緒の右腕を斬り落とし、あろうことか盗まれやがった、ということで枷取家の使用人、式神連中から嫌われ中である。
ただ、それでも最も古くからいる枷取家の仲間…しっかり反省すれば、数週間から数ヶ月で許して貰える。
常に嫌われているどっかの馬鹿とは違うのだ。
「後は、菜緒姉の寿命の減り方を調べるのも大事かな?…どのタイミングでどう減るかで、動き決めれるし。」
菜緒の寿命の減り方は本当のところ、謎だ。戦い続けているせいで、魂が劣化していると言われているが…
「アタシ達の訓練も減らし–––」
「…二人共、まだ弱いでしょ?」
千賀の言葉を目線だけで止めた。
菜緒の《異空庫》内での二人の訓練…時間の流れの違う場所での、菜緒直々の修行だ
二人共、既に一流並みの実力はあるが…二人がかりでも、手加減中の菜緒に敵わない。
…三人はまだまだ話足りないが、唐突に終わりが来た。
「菜緒ー?お風呂上がったよー?」
突然、鈴が扉を開け、頭にタオルを巻いてバスタオル姿で現れた。
タオルから手を離したら、全裸になってしまう
「なっ!?、す、鈴ちゃ…服!!」
想い人のセクシー過ぎる姿を見て、顔を真っ赤にして取り乱す。
菜緒が大きい声を出すのは本当に、稀だ。
「と、とにかく、鈴ちゃんの前では…えっと、イチャつかないで。」
「「だから、イチャついてないって!!」」
とりあえずもう一回、念を押して言った後…今にもはだけそうな、バスタオル姿の鈴の元へ急いで向かう。着替えを用意してある、洗面所へ連れて行く為に。
…この次の日、鈴が我慢の限界を迎え、菜緒と鈴の仲が少し進展する。
そして、菜緒は自身の延命を本格的に考える。
…To Be Continued?
「進展前夜」 殺人姫:枷取菜緒は幸せに たい sterben @sterben_dead
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