アイ・ワナ・ビー・香港97

青ちゅ〜≒ラリックマ

プロローグ

『また潰された』


 discordのアングラゲームコミュニティ、香港97にそんな書き込みがされた。続いて投下されるXのツイートたち。すぐ返信が付き始める。


『東方二次創作の大手じゃん』


『は? ついに東方系きたか』


『腐ってる』


『Twitter荒れまくってる』


『マジでこの時代どうなんの』


『どこがやりやがった?』


『アノニマスは味方してくれてよ……』


 ため息をつきながら、そのコメントを無言でスクロールしていた。


 投下されたスクショをタップする。

 AIが勝手にスクショ元のツイートのアドレスを教えてくれる。そこに飛ぶ。


 東方二次創作の大手の「スノッブ連盟」、その最新のツイートには新作ゲームの開発停止の旨と、その長々とした説明、ファンへの謝罪が書かれていた。


 開発停止の理由――特許侵害のため。


 もうこんなツイートを見るのは何度目だろう。あといくつ産まれて来れなかったゲームを見なければならないのだろう。


 胸が苦しくなる。深呼吸や安定剤を飲む気力もなかった。


 わたしは成すがままにリプレイ、リツイートの負の感情たちを追っていた。


 何分経ったのか、画面上部にdiscordからの通知が流れた。


 通知は殆ど無効にしているはずなのに何だろう。仄暗い気持ちでわたしは通知をタップした。


『ごめんね』


 DMだった。冷水でも浴びせられた気分だった。そして一気に全身が沸騰した。


 だってそれは5年も行方知れずのアイツからだったから。


 また通知にスマホが震えた。discordのメンションだ。


『@everyone

 皆さん、お久しぶりです。Warshaw(ウォーショウ)です。元管理人何だけど覚えていてくれたかな?

 さて、このサーバーも今日で7周年となります。本日21時よりVCします。良かったら来てください』


 2030年7日1日、それがゲーム業界の終わりの始まりだった――。



 

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アイ・ワナ・ビー・香港97 青ちゅ〜≒ラリックマ @aochu9919

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