第2話、原初の運送会社

ギガか指定するコードを端末黒い画面に貼り付け入力すると、梟の巣オウルズネストがインストールされた。特にギガからの説明はない、すると受信欄に通知でギガというアカウントからメッセージが来ていた。


[自動運転が生まれる遥か前、それは自動車すら無い昔、人は荷物を背負って運んでいた。籠や袋を背負い何千里も歩き荷物を届けていた。それは純粋たる肉体労働で、体力が有る者しか仕事ができなかった。それから何年も経って自動車が生まれ運転と積み込みの体力さえあれば荷物を運べるようになった]


「ポエティックだなあ」


[更に現代では人工知能の発達が進み、ごみ収集の仕事もロボットアームと自動運転に置き換えられた。ごみ収集もゴミを運ぶという運送の仕事であった、現在の運送業もロボットアームと自動運転の組み合わせ推進が進んでいる、ただ本人確認やら責任問題のせいで完全自動化とは行かない、そして違法と判定された荷物は運送できなくなった、そこに人間運送の需要が生まれた]


[例えば有害図書と指定された本の運搬停止が挙げられる、BL本、男性向け18禁本、危険な化学実験の道具や薬剤も、有害、危険であるという事でAIの規制とともに輸送禁止化された。この方針の推進には説得専門のAIが使用された。これに反対した人物たちが反対運動を起こし半地下化した]


[現在宇宙空間も活用して裏の輸送網が発展している、政府やAIは良く思っていないので、消そうとしているが自己増殖知性の事故のせいでそれは難しくなった、宇宙空間にある自己増殖するサーバーに脱法AIが転移し、そこに裏輸送網の指示拠点が作られた]


「で何をすればよいの、早くしてよ」


[まずは個人事業主として運送業の登録を行って下さい、表向きはただの個人運送業者として活動します、まずX氏と会って会話するのが良いでしょう]


「どんな人?危ない人とかじゃ無いよね」


[輸送禁止を破っているので、危ない人ではあります、ただX氏に対する苦情は今のところありません、なにせX氏は私です]


「え、人だったの?」


[そうです、だだしあなたのことは知りませんよ、ポエティクだとおっしゃいましたが梟の巣オウルズネストでのギガは私がたまに話しています、脱法AIはAIがやってます、人で対応するのは無理ですよ。あといろいろありますが言えませんね、ばれたら政府の役人が来てオシマイですから]


その後支部を紹介すると言われ、日程が決まって行くことになった。


ビルの案内を見ると3階にAI輸送個人事業主コンサルティングと表札があった、他の階にはリペア(株)や通信開発アザミなど書いてある。外から見ると何の変哲もないただの雑居ビルだった。しかしやけに段ボールが多い。ビル一階の廊下の両端に段ボールが山積みになっている。

ビルの横の路地でメガネでアフロヘアの男が渋い顔で電子タバコを吸っていた。突然、

「くっそ、負けたどうなってやがる。これでパアだ!!!」と怒鳴った。

画面がちらりと見えたのだがどうやら違法カジノをやっているらしい。私もちょっとだけやってた時期もあるから、まあ仕事に落ちてどうにかカネを増やせないかって悪戦苦闘してただけだから責めないで欲しい。もしかして彼ってX氏?でも中に入って下さいと言われてるし、とりあえず入ろう。

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ニートが秘密運送会社始めてみた 三家明 @miyaakira

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