付き合って半年、別れて半年

かふぇらて

付き合って半年、別れて半年

もう、彼と付き合って半年になる。今日はその彼と映画デートだ。まあ、デートって言っても、私たちはまだ中一なので、親も付いてくるが。でも、映画の席は離れてるから、その時は二人きりになれる。


ブーンという重低音が館内に響き、大きなスクリーンに映画が映し出される。私は暗いところが少し苦手なので、彼はそれを配慮して、私の手の上に手を重ねた。私の心拍数はMAXで、映画の内容が全然入ってこない。それが最初から最後までだというのだから、私は映画を見た気がしなかった。まったく、彼のボディタッチが原因で物事に集中できないなんて、なんて幸せな悩みなんだろう。


これがずっと続けばいいのに―――






もう、彼と別れて半年になる。向こうから切り出してきた別れだったが、私は頷いてもないのに勝手に別れたことになってしまった。わたしは、まだ彼としたいことがたくさんあったというのに。


そして最悪なことに、私は今学校のグループ学習で彼と同じグループだ。今日も、彼の顔を見て苦しくなる。そんなことの繰り返しで、私は学校なんか行きたくない。しかも、彼には塾で好きな人ができたと風の噂で聞いた。彼のためを思うと、私は応援するのがいい、けど、心のどこかで「その恋叶うな」と願ってしまっている。まったく、彼にさんざん心を奪われて、次は絶対につかめない彼の心を奪おうとしているなんて、なんて皮肉なんだろう。


彼も私も、お互いを忘れてしまえばいいのに―――



届かない私の気持ちは、今どこかで空いた炭酸と共に泡になって溶けた。

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付き合って半年、別れて半年 かふぇらて @mk-sue_1109

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