ボクの名前
しとえ
ボクの名前
「ソラちゃんご飯よ!」
ママの呼んでる声がする。
ボクはキッチンにまで降りてご飯を食べ始めた。
大概いつも同じ味。美味しいんだけど飽きちゃうんだよね!
あっという間に食べちゃって、なんだかもうちょっと食べたい気分。
ボクはテーブルの上にひょいと乗ってママの唐揚げをパクリ!
「こらお行儀が悪いでしょやめなさい!」
えへへ、ママに怒られちゃった。
ボクはさっさとキッチンから逃げ出した。
窓の隙間からスイと外に出て、塀の上を歩く。
腹ごなしのお散歩。
今夜は星が綺麗だな!
20mぐらい先にある家のキッチンの明かりがついていて、ボクは窓から中に入る。
「おぉ、虎之助来たか!」
おじいちゃんが缶詰を開けてくれる。
やったーこれ好きなんだよね!
ボクはパクパクと平らげた。
おじいちゃんがボクの頭をなでなでしてくれる。
ちなみにおじいちゃんは一人暮らしだ。
だからボクが来たらすごく喜んでくれるんだ。
お腹もいっぱいになったしまた窓から出て外をお散歩。
おや、可愛い子が歩いてる!
近所のみィちゃんだ。
「ねえねえお話ししようよ!」
そう言って話しかけたら、ぷいとあっちに行っちゃった。
なんだよ……気まぐれなんだから。
電車の高架下でいっぱい仲間と集まる。
おしゃべりをしたり、くだらない情報交換。
「そういえば 3丁目の料亭潰れたんだって」
「えー嘘。あそこ美味しかったのに!」
「仕方ないじゃん、オーナーさん病気だって」
「今度は2丁目のコンビニに行こうよ」
「やだよ、あそこのお兄さん怖いもん」
「なぁ、お前らこれからファミレスに食いに行くんだけど一緒に行かねえか」
「行く!」
「行く行く!」
「ボクも〜!」
みんなで揃ってファミレスへ
ここのご飯も結構美味しいけど、その日によって食べれるものが変わってきちゃうんだよね!
掃除のおじさんが出てきてボクに話しかけてくれる。
「なんだよ、またお前たち来てるのか。おモチのやつまた太ったんじゃないか」
ちなみにここのおじさんはボクのことをおモチって言うんだ。
さすがにもうお腹がはちきれそう!
よろよろしながらお家に帰る。
窓から入って2階に上がると、ボクの『妹』が ボクを抱っこしてくれる。
「ちょっ…また太ったんじゃないの?重いんだけど!ネコの重さじゃないよもう!」
「そんなことないもん !」
ボクは妹と一緒にベッドに入る。
そういえばボクの名前ソラって呼ばれたり、虎之助って呼ばれたり、おモチって呼ばれたり、ネコって呼ばれたり、本当の名前は 何なんだろう?
そういえば『可愛い』とか『もちもち』とか『おデブちゃん』とか呼ばれたりすることもあるけど、これも名前なのかな?
ボクの名前は何だかいっぱい。
でも名前を呼ばれるのは嬉しいな!
ボクの名前 しとえ @sitoe
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