第四現場 東御苑の閉苑時刻

 『SAOⅡ』の原作小説の中で、午後三時に「大手門」前で待ち合わせをしたキリトとアスナは、その後、一般公開されている「東御苑」を散策している。

 だから、書き手は、現実の〈二〇二五年十二月七日〉の三時過ぎに、タブレットにて動画を流しながら、キリトとアスナと同じ道程で、江戸城跡である皇居東御苑を巡ってみる事にしたのだった。


 ちなみに、この日の皇居には、何故か黒い衣装や白い衣装を身に纏った、いかにもな二人組が何組か見止められた事も、ここに付言しておくとしよう。


 さて、原作小説では、キリトとアスナは、「五時」前に「平川門」から出た事が記述されている。だがしかし、アニメの方では、二人が、大手門、平川門の何れの門から出たかの描写は為されてはいない。ちなみに、アニメでは、二人がオレンジ色に染まった空の下、苑内の芝生前のベンチで語らうシーンの後に、場面が数時間前の有楽町・銀座エリアに変わっているのだが、そこでは、〈一時〉を示す有楽町マリオンの時計の下に「―約4時間前―」というテロップが出ているので、少なくとも、その東御苑内のベンチのシーンが五時近くである事が分かるような仕掛けになっている。

 だから、書き手も、物語の中でキリトとアスナが語らっていた五時まで皇居に居たいと欲した分けなのだ。


 ところが、である。

 実際には、一般客は四時前に皇居から出なければならない。

 苑内では、ただ単にアナウンスが流れるだけではなく、敷地内に残っている散策者全員を出す為に、車や自転車で東御苑内を巡り巡って、係員が退苑を促すからだ。

 つまり、現実においては、四時過ぎに東御苑に残る事はできない分けで、ここに、小説であれアニメであれ、『SAOⅡ』とリアルとの齟齬が認められる分けなのだ。


 それでは、現実と虚構との相違の理由は、作者先生や制作のアニメ会社の過失に起因するのであろうか。

 それとも、原作執筆やアニメ制作の二〇一〇年代の閉苑時刻は二〇二五年現在とは異なっていたのであろうか?


 ふと疑問を抱いた書き手は、声を掛けてきた係員に閉苑時刻に関して質問を投げ掛けてみた。


 どうやら公開時間は、日の入りの時刻に合わせて時期によって変動するらしい。後日、宮内省のサイトで確認してみたところ、十二月は午後四時まで、物語にあるように五時までなのは、春や初秋、具体的には、三月から四月半までと九月なので、『SAO』の取材が為されたのは日が長い時期だったのかもしれないな、と思う書き手であった。


〈参考資料〉

〈WEB〉

 「皇居東御苑の公開について」<「皇居東御苑」、『宮内庁』、二〇二六年一月三日閲覧。

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真は〈現場〉で起きてるんだ ~『虚構の中の都市空間』、『カクヨムコン11』出張版~ 隠井 迅 @kraijean

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