【お試し】剣術バカと異世界転生~あぁ、切断(き)りてぇなぁ~
あくはに
第1話 剣士
「ふむ、なるほど。俺は死んだのか」
『はい』
目の前にいる女神さんから聞くに、どうやら俺は死んでしまった様だ。
『凄いですね。自らの死を理解しても尚、一切狼狽えないとは』
「何故狼狽える必要がある?貴女が記憶を保持したまま転生させると言ったではないか」
『まぁ、その通りなんですが』
常人ならば、親しき者達との別れもあって取り乱すだろうが、かく言う俺は、中学の時に天涯孤独の身と成ったのだ。その際に、孤独である事を許容し、それが当たり前であったため、人間関係で特段思い残す事は無い。
『では、転生するにあたってギフトを授け様と思いますが、何かお望みのものはありますか?』
「ふむ......では、大刀と小太刀及びに、修練用の木刀。並びに、それらを整備するための道具と修練が自由に出来る出自を希望する」
『え......それだけで良いのですか?』
「ん〜?それだけも何も、かなり贅沢を言ってると思うのだが?生命皆、出自は天運頼み。それを自由に決めさせて貰っているのだ。それに加え、記憶さえも引き継げる。これを贅沢と言わぬして、一体何と言うのだ?」
『......今までの転生者とは違うのですね、貴方は。分かりました。その様に手配させて頂きますね』
「感謝する」
女神さんに深く頭を下げ、感謝を口にすると同時に意識が遠のく。
『次に貴方が目を覚ました時には、転生は完了しています。では、ご達者で......いえ、貴方にはこう言うべきですかね。ご武運を』
女神さんのその言葉を最後に、俺の意識は暗闇の中へと落ちていった。
******
「む?」
意識が覚醒すると同時に、濁流の様に情報が脳内に流れ、頭に激痛が走る。
「なるほど。今の俺は3歳児であり、辺境伯...
...金持ちの三男という立ち位置なのか」
痛む頭をトントンと小さな指で叩きながら、口に出しながら情報を纏める。
「では、修練へと行くか。この身体で出来ることは少ないが、剣を振るうための土台作り位は出来るであろうよ」
記憶を頼りに、短な足でテクテクと訓練場へと向かう。
訓練場へ着くと、そこでは我が家に仕えている兵士達がちょうど鍛錬をしていた。彼らは俺の姿を捉えて少しザワつくが、それらを無視して訓練場の端の方にある芝生にポスリと腰掛ける。
「お、おぉ!?」
グッと柔軟を始めると、自らの身体の柔らかさに驚きの声が漏れてしまう。
「この柔らかさを生涯に渡り維持出来れば、かなりのアドバンテージになるなッッ!!」
柔軟を入念に行った後は、何も手には握らず、ゆっくりとした動作で型をなぞる作業を夕飯の時間まで行った。
******
意識覚醒から4年後。
俺は7歳と成った。
この間に向上したのは、身体操作と剣術に対する理解のみ。転生して未だに、一度たりとも立合いが出来ていない以上、真に成長したとは言えない。
だが、今日からは兵士達との立合いをしても良いと父上から許可を取れた。これでまた、俺は成長出来る。
******
更に2年。
俺は9歳と成った。
この日、俺は同い歳の他貴族の子息に敗れた。
魔力。
前世の創作物ではメジャーな摩訶不思議な力。転生する際にも、女神さんからその存在は聞いていたが、剣術の事のみしか考えていなかったせいで、すっかり失念していた。反省せねば。
魔力により強化された
******
更に1年。
俺は10歳と成った。
どうやら、俺は魔力が使えないらしい。
専門家のお方が言うには、魔力自体は存在するが、それに対して何故かは分からぬが、一切の干渉が出来なくなっているらしい。
家族の皆からは、ひどく慰められたが特段俺は気にしていないので、逆に申し訳なく思った。必ずや強くなり、家族の皆を安心させると誓った。
******
更に2年。
俺は12歳と成った。
俺はこの日初めて、真剣を握った。
強く、強くそう
故に、父上に頼み込み兵士達の魔物討伐に付いて行った。
前世も含めて初めて、自らよりも、膂力も、速度も、体格も、生物として格上の相手を
実に、
俺はまだ弱いと、強くなれると教えてくれた魔物に感謝の念すら覚えた。
必ずや最強の名を掴んでやると、誓った日だった。
******
更に3年。
俺は15歳と成った。
今日から久々の学生生活だ。実に楽しみである。
一体、どの様な強き者達と死合えるのか、実に
【お試し】剣術バカと異世界転生~あぁ、切断(き)りてぇなぁ~ あくはに @Akhn496
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。【お試し】剣術バカと異世界転生~あぁ、切断(き)りてぇなぁ~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます