第2話 帝東学園高校

「ふぅ・・・。」

スクールカウンセラーの紀藤あゆみは、兼任している養護教諭の仕事場である

保健室に向かった。

今朝の職員室での朝礼は、昨日起こった生徒による万引き事件についてのもので、

教頭がひどく苛立ちを隠せずに長々と教員たちをネチネチと嫌味を吐きながら、

説教じみた話に終始したものだった。


現在、学校を取り巻く環境は大きく変化していた。

従来の学校制とは大きく違った制度が施行されたためだ。

2030年。

増え続けた不登校生徒は学級の半分にまで到達し、

誰もが学校の意義に疑いを持ち出していた。

学校不要論といった従来では暴論とも言える論調が、

政治家の口からも毀れだし、選挙の争点としても持ち上がったのである。

そして、

ある政党が公約で生徒ファーストを掲げた。

その政党はカリスマ性のある党首を筆頭に、日本全国で大躍進した。

政党は与党と連立を組むことに成功し、

目玉政策とも言える、大規模な社会改革を続々と実現させていくのだった。

学校制度改革は、その一つでもあった・・・。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

「Nocturned Tistimony」眠り草3 北川 ジャニー @kitagawa_j

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

参加中のコンテスト・自主企画