【短編】帰ろう、帰る、帰りたい……
じょお
【短編】帰ろう、帰る、帰りたい……
カクヨムコン11用短編 その1
長編は既に完結まで書き終わってるので応募したので(前やってたコンテストには選考に引っ掛からなかったけど(苦笑))短編でも書いてみようかなと……ん〜、何がいいかなぁ?
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──帰ろう、帰る、帰りたい……──
ふと気付くと、見知らぬ土地。
「どこだ、ここ?」
見たことがあるような、ないような土地……番地を示す鉄板(正式名称は知らない)を探してみる……
「●○町……7番地……知らねえ、な……」
取り敢えず道路に沿って歩く。
「……鉄道があるな……駅はあっちか?」
踏切を見つけ、電車が来ない内に駅の方を見極める。
「あっちか……なら、道はこっちかな?」
線路の方向に当たりを付けて、歩き出す。空を見ると気付いた頃よりだいぶ日が傾いていた……早くしないと暗くなって帰宅が困難になるだろう……
(見慣れない町並み……ここは俺が住んでた日本と同じなのか?)
違和感を拭えない、見た気がするが見知らぬ町を歩く俺は、内心の不安を感じていた……
◆◇◆
「はぁ……やっと着いたな」
どこか古き懐かしい駅舎を前に立ち尽くす。券売機は壁に埋め込んだ物ではなく、古い型の独立している物だった。
「ここは……えっと?」
神●川県のとある駅だった、いつの間にこんな所に……兎に角、都内の最寄り駅までの接続を確認して運賃を調べてみる。
「この路線を一旦山の方に戻って……この駅で急行に乗り換えて……こっからこっちの駅まで行って、乗り換えて行けば……」
駅員さんに訊きながら、最短且つ、乗り換えの効率的な方法を覚えていく……
「ありがとうございました!」
「いえいえ、お気を付けて……」
頭を下げて礼をする。切符を買い、ホームへと急ぐ。後数分で目的の……1つ目の電車が来る筈だ。
◆◇◆
「ふぅ……間に合った」
ぷしゅー……と、背後で圧縮空気でドアが閉まる音がする。
ずーー……ガタンゴトン……
次第に加速していく列車。ここから次の駅まで10分は掛かるようだし座っておくかと……通勤列車特有の進行方向に対して横に長い座席へと座る……ま、ガラガラなんでどこでも座り放題なんだがな?
「……何か、昔乗った事のある電車っぽい……型落ちが流れてきた奴か?」
例えるなら、西●鉄道の赤っぽい車両みたいな……古い、と言うか旧いな……ここ、何ていう鉄道会社なんだろうか……
「次は〜、●○…、●○〜…」
「Σはっ……もう降りる駅か……」
うたた寝してたようだ。いや、たったの10分余りで寝ちゃうとか、どんだけ疲れてたんだかね……と思いつつ、ドアが開いたので慌てて立ち上がって外へ……
「え……と」
乗り換えはあっちのホームか……と、歩き出す。何故か階段を登って隣のホームへ……ではなく、ホームから線路の高さまで降りて木製の渡り廊下を通って隣のホームへ……マジ?
(気を付けないと、電車に轢かれるな……)
取り敢えず、右見て左見て……警笛とか鳴ってないか確認してから渡ったよ。何か古臭い駅の構造なのは気のせいか?
◆◇◆
「次の電車来たな……」
静かに入って来た電車に乗り込み、ドアが閉まったのを確認してからそっと息を吐いて座席に座る。
(……こっちは4人掛けの座席か……)
田舎の電車あるあるなんだが、神●川県ってそこまで田舎だったか?……と思いつつ、暫くこの電車で都内のとある駅まで着くのを待つ……
(また眠くなるな……)
案の定、目蓋が重くなってくる。まぁ、1時間くらい掛かるし、イヤフォンしてアラームセットすりゃいいか……おやすみぃ。
◆◇◆
ピピピピピ……
「むぅ……もう、着いた、のか?」
きっちりと1時間爆睡してた俺は……目を擦りながら外を見て愕然とした……いや、体感時間は一瞬なんだが。
「え……と」
何やら周囲は住宅地のような感じ。ホームは左右に1つづつ……まるで路上電車の小さい簡易的な停車駅みたいな……
「取り敢えず降りるか……」
乗り換えの路線は暫く歩かないといけない。確か改札を出て次の改札まで30分以内に歩かないといけない筈だ。
「えっと……▲△駅は……これか」
徒歩の順路が示されている簡易的な地図が壁に貼られていた。確認し、順路を覚えていく。
「うしっ、行くか……」
俺は頭に順路を叩き込み、歩き出すのだった……
◆◇◆
暫く住宅街らしき道を歩き、暫くすると大通りに出る。夕方だというのに自動車の行き来は疎らで、都心に近い町中とは思えなかった……
「まぁいいや……えっと」
順路を思い出しながら歩く……そして、高い建物の隙間から駅舎に見える建物が見えてきた……まぁ、「▲△駅」って大きく書かれてる看板があった訳だが。
◆◇◆
「うわぁ……これまた階層が多い駅だな……」
案内板を見ているんだが、地下1階から地上5階まであるホームにビックリしてる所だ。どこのターミナル駅か?……って思う程の規模だよな。尚、駅そのものは外から見た限りだと確かに大きかったが、線路は道路側からでは見えなかったので分からなかった。
「えっと俺が乗る路線は……3番ホームか」
地上3階のホームだと分かり、階段を目指す。何だか階段を昇るのに上手く体が動かないのは気のせいだろうか?……それでも何とか頑張って3番ホームへと辿り着いた。
「間に合ったようだな……って、凄い勢いで電車が入ってくるんだがっ!?」
風を切ってホームに滑り込んでくる通勤列車。次第に速度を落として停車する様は、かなり強力なブレーキを積んでるんだろうか?
(でも、飛び込みとかあったら絶対に止まれなさそう……人生に絶望して飛び込んだら、まず確実にひき肉にジョブチェンジしちゃうだろうなぁ……)
なんて考えてたらドアが開いた。ので、乗り込む。ここまで気付かなったのだが……
(何でどの電車も、客が居ないんだ?)
……という事だが。そこまで考えた時点でドアが閉まる。そして次第に速度を上げて……電車は次の駅へと走り出した。
◆◇◆
「見覚えがあるような……ここ、あの駅だよなぁ?」
近くに池がある駅だ。確かお茶何とかって……そしてどんどんと進み、やがて右へとカーブして行くんだが……
(やけに駅間が近くない?……まるでミニチュア世界みたいな……)
都心に入れば駅間は狭くなるので、掛かる時間も短くはなるが……それにしても数分は早過ぎる。そして駅の数も少ない……もう、新●に着いてしまう。
◆◇◆
「くっ……おかしい。何でこんな……」
新●らしい駅から次の駅まで、まるでレースのように加速する区間があった……体感で時速100kmは出てたんじゃないか?
「あんだけ加速してたら、駅間距離を考えたらあっと言う間だろ!?」
だが、数分は掛かってたように思える。そして乗り換えの駅に着いた訳だが……
「高●○場か……んん? こんなでっかい川、あったか?」
進行方向には、確かに「神●川」があるが、見えている川はそれの3倍は広かった……というか本流1つではなく、細かい支流が幾つか流れ込んでるような……
「妙●○川との合流地点はもっと川上だし、そもそも見えない筈なのに……何なんだ、これ」
混乱してきた俺は、ふと隣の線路に気付く……そこには、列車が大回転できるようなループ状の線路があった。恐らく、先程まで乗っていた路線の物だろう……
「……もう、訳が分からん……」
混乱してる俺を他所に、電車は動く……次の駅へと向かって。
◆◇◆
「ぶ、無事に川を乗り越えたな……」
何故か陸橋を渡る形式ではなく、線路が川の水流の中に施設されてたのだ……
「大雨とか降ったら、流されそうで怖いぞ……この電車」
某地下鉄は線路の横に電気が流れている架線がある為、漏電し放題だろう……まぁ、何故か架線が無いのでディーゼルなのかも知れないが。
(それって電車じゃないよなぁ?)
だが、架線があったり無かったりしてたような?……それは兎も角、次の駅へと着く列車。
(確か次の駅だな……をを、降りる客が居た……初めて見たような?)
しかし、利用客は夕方から夜へと変わろうとしていたせいか顔は見え難く、照明も暗くて駅全体は薄暗かった……
(……ま、次だな)
昔はよく利用していた西●○道の西●新●線だ。
「次は〜、中●〜、中●〜……」
ようやく降車駅だ。何だか心臓がドキドキして来たよ……帰って来ただけなのに、何故?
※何故か作者も心臓が……あ、これ、ヤヴァイ?……あ、ドキドキが止まった(苦笑)←マジに1秒に1回のペースでドキドキしてた……早鐘を打つというよりは心臓の鼓動がデカくなっただけのような……(謎)
◆◇◆
ぷしゅ〜……
圧縮空気がドアを押して開く。昔、その動作をCGアニメで解説した動画を見たなぁ……なんて思いながらドアをくぐる。
(や〜っと帰って来たなぁ……ま、これから少し歩くんだけどな……)
地元の中●駅に降り立ち……矢張り見覚えのない作りの駅構造に頭を捻る。
(おかしいな……確か今は地下に通路ができて、地上はホームだけの筈なのに……)
何年か前に大改装をして……いや、気付けば改装されてたんだが……改札や券売機などの装置が地下に移動し、地上部分は地下への階段入り口とホームに渡り廊下くらいの構造になったのだが……
(これ、昔のままだよな……)
そう……昔のままの駅構造になってたのだ。全て地上に施設がある……
(……取り敢えず、帰るか……帰る家があればいいんだけど……)
俺は、何となく嫌な予感がしつつ……駅から出たのだった。
◆◇◆
「何か……妙●寺川、デカくないか?」
記憶の中のその川は、幅が10m前後で水深……というか、地上から底までも同じくらいか少し浅いと思ったのだが……
「嘘だろ……」
雨も降ってないのに、底から8割くらいを大量の水が流れており、うっかり足を滑らせて呑まれたら、絶対助からない自信がある早い流れ……
「これが……あの穏やかな川、なのか?」
確かに大雨が降れば別だが、今は降ってない。次第に暗くなっていく為に吸い込まれそうな幻想に……
「はっ!?……いかんいかん」
頭を振り、意識をしっかりと持ち直し、俺は歩き始める……
◆◇◆
あれから駅から出て、川を渡り(無論、橋を使ってだが)、覚えている限りの道を歩いている……だが。
「おかしい……確かこの道でいい筈なんだが」
何だか記憶にある建物と、見えている建物が違う気がする……細かい事をいえば、「古い建物」のような気が……
昔に戻ったような気がして、試しに昔住んでいたアパートへと向かってみる。今は確か……大型の飲食店になつていた筈だが……数軒の建物を潰して、な……
「ある……アパートが……じゃ、じゃあ! 今住んでいる家はっ!?」
俺は今来た道を引き返す……この辺は横断歩道が少なくて渡るのに不便なのだ……横断歩道時とほぼ同じ位置に歩道橋があったので、不便なのは変わらなかった……だが、その歩道橋も撤去されて、広い横断歩道となっていたのだが……
「なん、だと!?」
歩道橋が存在し、狭い横断歩道があった……ではっ!? この世界は……俺は走った。今住んでいる家が……あの狭いながらも2階建ての一軒家があるかないかを確認する為に!
◆◇◆
幹線道路から細い私道へと入る。向かって右にはマンションの1階にコンビニがある筈なのだがそんな物は無く、また……幹線道路は拡大されて道路脇の家々は潰されて歩道や幹線道路が広くなっていたのに昔のままだった……いや私道に入る時に気付いたのだが、チラリと見ただけでスルーしてしまった訳だが……
「あっ……た?」
走ったその先に、一軒家はあるにはあった……だが。
「何か、無茶苦茶デカくね?」
それは……記憶にあるこじんまりとした一軒家ではなく……まるで、屋敷のような大きさの、一軒家だった。
「庭?……でっけえ……」
隣の一軒家(同じ敷地にある……確かに借地で地主は同じだと聞いた)は影も形もなく、何故か元の広さより広大な草ぼうぼうの庭が広がっていた。
※例えるなら、子供たちがサッカーができるくらいには広い庭……ゴールは無いけど(笑)
「これ、明らかに俺の住んでる家……じゃねえよなぁ……」
そして、玄関には黒い影がこちらを覗く…
「お気に召さなかったかな?」
それだけを口パクでいうと、俺は気を失った……そして……
◆◇◆
「う……ここは?」
どこか懐かしいが、知らない場所で意識が覚醒する。
「家に帰らないとな……」
そして、家に帰る為に……俺は歩き出す。ただ、その為に……
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無限ループ?……実際にはちゃんと起きるのでそれは無いですがっ!(苦笑)
※一部創作、殆どは夢で見た記憶を再構成してます……再利用したのは8つくらいかな?(多いよっ!(笑)←全部をミックスじゃなくて、一部づつを組み立てた、みたいな?)……かなり曖昧で分かり難いかもですが、夢なのでそれはご容赦を!(マテッ!)
【短編】帰ろう、帰る、帰りたい…… じょお @Joe-yunai
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