この先の未来、彼岸までこんなことにならないといいな
- ★★★ Excellent!!!
飢えと孤独に苛まれた小さな猫さんである主人公がが、あの世の中洲で優しい鬼の店主に救われていく姿を描いたいつくしみの心に満ちたお話です。
過酷な世界で母を失い、生きるために選ばざるを得なかった痛ましい過去が、温かいスープによってそっと癒やされていく描写に、心を打たれました。本当に、心を打たれました。
店主もまた孤独を抱え、魂をもてなすことで自らの存在意義をつないでいる点が切なく、二人の短い出会いが実はお互いを慰める時間になっているのが、ものすごく印象的でした。
飢えや死や孤独といった重いテーマを扱っているのに、読んだ後に、優しい気持ちになれるのは、店主と主人公の間に流れる思いやりの気持ちがあるからだと思います。
誰かを救おうとする気持ちや、食べ物を分かち合うこと、ただ隣にいて頭を撫でること、それだけで心がふっと軽くなる瞬間が、物語の中に何度もありました。
これは名作。
ぜひ読んで欲しいです。
長編で読みたいなぁ。