コミック書評:『つま恋花鳥園』(1000夜連続14夜目)
sue1000
『つま恋花鳥園』
——花と鳥の楽園で、イケメン5人が推し活?
『つま恋花鳥園』は、静岡の片隅にある架空の花鳥園を舞台に、個性も経歴もまったく違う5人のイケメンスタッフたちが、日々にぎやかに働く日常系コミックだ。元ホストの朝比奈蓮(25)、元レスキューの神代隼人(28)、元ITエンジニアの三雲翔(26)、元パティシエの宮代奏(29)、現役大学生の成瀬海斗(20)。共通点はただひとつ——とにかく鳥や植物を愛してやまないこと。
物語は、入園者数の低迷を打開しようと、園長が「うちも推し文化を取り入れてみよう!」と提案する場面から始まる。
企画では、新たに入社した5人がそれぞれ園内の鳥や植物を“推し”に選び、その魅力を来園者に伝える役を担う。蓮の華やかなプレゼン、隼人の力仕事と細やかな世話、翔の観察眼とデータ管理、奏の創作スイーツ、海斗の真っ直ぐな情熱——違いがぶつかるのではなく、自然に重なり合い、作中の推し活ムーブメントが形になっていく。
本作の魅力の一つは、個々のエピソード以上に、チームで動く空気感を見事に表現している点だ。作業中の何気ない掛け合い、推しの魅力を夜な夜な語り合う時間、他人の推しに惹かれてしまう瞬間——そうした場面が積み重なり、読者も園の魅力に惹かれ、作中の鳥や花々——園のシンボルであるオニオオハシやフラミンゴなどを、彼らとともに推したくなってくる。
終盤、春の一大イベント「羽ばたきフェスタ」の準備が山場となる。花壇の整備、鳥たちのコンディション調整、カフェメニューの刷新、案内アプリのテスト……それぞれの得意分野を活かしながらも、最後には全員が土まみれになって花を植える姿が象徴的だ。傍らで園長が嬉しそうに見守り、副園長が差し入れの温かいお茶を配るシーンは、親と子のような温かさを感じさせる。
『つま恋花鳥園』は、イケメンを推すだけの物語ではない。それぞれの登場人物もまた推し活をしており、それを通じて生まれるつながり、仲間との協力、そしてその時間を共有する喜びを描いた作品だ。また、園長と副園長という落ち着きと経験を備えた二人の存在が、若い5人の行動に安定感と深みを与え、作品世界の平和な空気を生み出している。
ページを閉じても、温室の湿度や鳥の声が残り、また訪れたくなる。推し活を知っている人にも、まだ知らない人にも届く、やわらかな光を帯びた第1巻だ。
というマンガが存在するテイで書評を書いてみた。
コミック書評:『つま恋花鳥園』(1000夜連続14夜目) sue1000 @sue1000
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