無限トロフィー

雲乃琳雨

無限トロフィー

 昨今、ライトノベルは賞レースが盛んに行われているので、小説家の方もたくさんのトロフィーをもらうことがあるかもしれない。

 トロフィーと言えば、スポーツ選手を思い浮かべる。たくさんのトロフィーを自宅に飾ってある映像をテレビで見たことがある。たくさんもらう人は言っていた。


「たくさんあるので、もういらないです」


 でも、捨てることなく飾ってある。

 子供の頃ならトロフィーをもらうとうれしかっただろう。親も子供の成長を喜んで部屋に飾る。でも大人になると事情が変わってくる。



 1話 トロフィーと私

 小説で賞を取ってトロフィーをもらったが、飾るところがない。家族にも小説を書いてることを言ってない。

 隠して飾るか。このままきれいにしまっておくか。もし今後、たくさんもらったら、どうなるのか?

 私がいなくなった後、このトロフィーはどうなるのだろうか。名前が書いてある。分別は?



 2話 トロフィーと母

「あんた、こんなにトロフィーをため込んで!」

「だって、賞がほじかったんだもん……ぐすっ」


 いつまでたっても人は子供だ。



 3話 トロフィーと賞金

 編集部の人に言ってみる。


「トロフィーいらないんですが」

「分かりました」


 後日賞金ももらえなかったので、連絡する。


「賞金は欲しいです」

「あー、……」


 後日

「副賞と賞金は一緒とのことです」

「ぴえん」


 テイク2

「トロフィーいらないんですが」

「副賞と賞金は一緒とのことです」

「トロフィーもらいます」




 4話 トロフィーと妻

 夫が賞を取った場合。


「あ、ごめん。邪魔だから少しずつ捨ててた」



 5話 組み立てられるトロフィー

 1、プラスチック製の組み立て式。

 2、3Dジグソーパズル。


 とりあえず組み立てる。



 6話 光るトロフィー

 経費増。

 手元灯になって使える。



 7話 紙のトロフィー

 のりで接着する。

 もはや、トロフィーとしての威厳はない。



 8話 カプセルトイサイズのトロフィー

 飾る場所はある。



 9話 キーホルダートロフィー

 人にバレたくないので、金具を外して、カプセルトイの横に飾る。



 10話 SDGsトロフィー

 埋めると土に返る材質。

 飾ってから、埋めてみる。



 11話 食べられるトロフィー

 1、お菓子の家のように、チョコレートで接着して組み立てる。

 2、トロフィーの形の一枚クッキー。内容がプリントしてある。

 3、トロフィーの焼印がしてある饅頭一箱。

 4、トロフィーののしが付いた、普通の饅頭一箱。


 喜んで食べる。



 12話 SFトロフィー

 カードのQRコードを読み取るとトロフィーが現れる。

 見てみたい。



 13話 未来トロフィー

 カードのスイッチを押すと、ホログラムのトロフィーが現れる。

 ほしい。



 14話 節約トロフィー 最終回

 トロフィーは意外と高い。

 編集部から事前に連絡がある。


「トロフィーは欲しい方のみお渡しします。どうしますか?」

「いりません」

「分かりました。ありがとうございます」

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